727.【5】 ページ27
［智にぃside］
全部話し終えた潤は
俺の腕の中で
「おれ、強くなりたい…」って
呟いて激しく泣き出した。
翔はそんな潤の頭を撫でて、「潤は強いよ。
でも、もっと強くなる為に、警察と学校で
きちんと話しような。できるな？」って
顔を覗き込んだ。
潤「…ん。でき、る…」
雅「ほら、ちょっと休憩。」
雅紀は5人分の紅茶を入れてくれて、
潤に冷たいタオルを渡してやった。
しばらくすると、だいぶ落ち着いた潤。
翔「ちょっと体、診せてね。」
潤が頷いたのを確認して、翔はTシャツを
脱がせて怪我の状態を確認していく。
翔「力の加減も、大事な部位も知らない餓鬼が
3人も揃って蹴ったり殴ったりしやがって…
命を落とすことだってあるのに。」
雅「…ほんとだよね。狂ってる…」
怒りを隠しきれない翔は、潤の体を診ながら、
「ぜってぇ、許さねぇ…」って何度も呟く。
潤は、本気で心配してくれて
自分の為にここまで怒りを露わにする兄の姿を
じっと見つめている。
翔「ちょっと寝転んでくれる？
ゆっくりでいいから。」
体を動かすのは辛いみたいで、顔を歪める潤。
それでも、俺らにばれない様に必死で
隠してたんだと思うと苦しい…
翔「少し痛いと思うけど、我慢な？」
潤「ん…」
翔「ギュッて押してくよ？」
潤「ん…」
不安そうに瞳を揺らす潤の頭を
翔は優しく撫でて笑いかけてから
腹部にある痣の上に手を置いて
力を加えていく。
潤「…ん、うっ、んー…」
すぐに潤は苦痛の声を上げて体を捩る。
触られるだけで痛いだろうからね…
翔「ごめんな。ちょっと我慢ね…」
翔は体を軽く抑制しながら繰り返す。
潤「…！んっ、まって…？」
翔「ん、痛いね。でもちょっと我慢ね。
ほら、手は横だろ？」
阻止しようと伸ばされた手を
優しく掴んで俺に合図を送ってきた翔。
俺は頷いて潤の傍に座って
その手を受け取る。
翔「もう少しな。ごめんな…」
潤「…！うっ…んー…」
苦痛に歪む表情を見て
少し険しい顔になった翔。
翔「病院も行っておいた方がよさそうだな…」
潤「え…？」
翔「…だいじょーぶ。もう痛いのしないから。
レントゲンとエコーだけ。な？」
不安そうな声を出した潤に
すぐに優しく声を掛けてやる翔。
その後、背中も診て手足も診て…
翔「じゅん？右手、捻られた？」
潤「ん…」
小さく頷いた潤を見て
翔は「やっぱり」って呟く。
翔「どういう向きでやられたか覚えてる？」
潤は顔を強張らせながら
コクンと頷いた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年6月20日 18時
