719.【3】怪我 ページ19
［雅にぃside］
着替えを終えて
リビングに戻って
和の傍に座る。
話をきちんと聞かずに、診察を強行した俺も
悪かったなって思ったから。
だけど…
俺が話して謝っても、和は一切目を合わせず
終始黙り。
翔にぃも寝転んだまま目を開けて
心配そうに俺らのことを見ている…
「不満あるなら言っていいよ？」
和「…」
「無理矢理が嫌だったんだろ？」
和「…」
無視してゲームを続ける和に
俺のイライラも募る。
それでも「ここは冷静に…」って
自分に言い聞かせて落ち着く。笑
「黙ってても分かんないから。何？」
和「…」
「和？」
和「…うるせーな。言ったって分かんねーよ。
雅にぃ、バカなんだからっ！！」
和は俺に向かってコントローラーを
投げつけて怒鳴ってきた。
「いってーな！人が優しくすれば調子に
のりやがって！ふざけんなよ？」
「バカ」と言われ、物を投げられ…
それでも我慢するべきだと言うなら
それは間違ってる…と、俺は思う。笑
智「雅紀」
翔「まさき！」
勢いよく立ち上がった俺を見て
2人の兄の声が聞こえたけど、
そんなの関係ない。
俺は和を横から蹴飛ばした…
倒れた和は、すぐに起き上がって
俺を睨んでから、背を向けた。
部屋に向かって歩き出そうとしたから
「逃げんな！」って怒鳴ったら
背を向けたまま叫んだんだ。
和「バカと話すことない！！」
反省の態度を少しも見せない和に
本気で腹が立った。
いっときの感情だけど抑えられなくて…
「ふざけんな！」
俺は和を背後から思いっきり蹴飛ばした。
智「まさき！！」
翔「まさ！」
蹴飛ばす瞬間に聞こえた兄たちの声。
でも当然、間に合わなくて。
智「…！あぶない！」
翔「かず！！」
和は、あまりの勢いに一歩踏み出してから
右に大きくずれて、置いてあった雑誌ラックに
頭をぶつけて倒れた…
一瞬、何が起こったか把握できなくて。
でもすぐに「やり過ぎた…」って
後悔の気持ちが襲ってくる。
智「かず、大丈夫？」
智にぃは動こうとしない和の背中にそっと
触れて顔を覗き込んで「翔、タオルお願い」
って顔を曇らせた。
どうやらラックに衝突して怪我したみたい…
翔「切れちゃった？」
智「うん、でもどこだろ…
ちょっと分かんない…」
翔にぃはタオルを持って和の傍にいって
体を横向きにする。
翔「かず？どこが痛い？」
和「…」
和はポロリと涙を零して、目を瞑ってしまう。
翔「…ちょっと診せてね？」
翔にぃは和の顔に優しく触れた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年6月20日 18時
