711.【2】 ページ11
［智にぃside］
翔「痙攣止め
ここ置いてくからね？」
「うん。」
翔「とにかく先に救急車呼んでね？」
「うん、分かった…」
かれこれ3日は繰り返されている
このやり取り。
でも翔が「そろそろ体は限界だから…
今日だと思っておいて」って言い残して
出勤して言ったから…
担当医が言うなら、間違いないだろう…
心配そうな潤を何とか学校に送り出して、
そろそろ雅紀もかな…と思ったら
「智にぃ！仕事休みもらえたから。
少しは安心でしょ？」って
笑ってくれた。
少しなんてもんじゃないよ…
正直、かなり安心。
俺らは交代で片時も離れることなく
和を見守った。
ただ傍にいて…
痙攣した体をさすり、声を掛けて励ます。
俺らに出来るのは、ほんの少しの限られた
ことだけ。
それでも和は少しでもラクになると
俺らの姿を確認して小さく笑う。
その笑顔に、存在に…助けられているのは
間違いなく俺らの方で…
情けないけど「ありがとう…」って呟いて
何度も頭を撫でた。
何もしてやれないけど…
それでも支え合うしかなくて…
そんなモヤモヤした気持ちのまま
張り詰めた空間を時間だけが忙しなく過ぎる…
恐れていた発作が和を襲ったのは
昼食後だった…
雅「智にぃ！！早く来て！！」
雅紀の声のトーンから発作だと分かった俺は
救急車を要請しながら部屋に駆け込む。
ベッドの上でバタバタともがく和を
雅紀が落ちない様にと必死で支えていた…
「かず！かず？すぐラクにしてやるから…」
幾度となく見てきたこの光景。
それでも少しも慣れることなんてない…
和「…し、い、…とに…」
和は、近くに寄った俺に
すごい力でしがみ付いてきた…
「だいじょーぶ。翔が助けてくれるから…」
雅紀は「座薬入れていいんだよね？」って
素早く準備してくれてる。
ほらね…？
やっぱり雅紀が居てくれてよかった…
痙攣した手足が言うことを聞かないけれど、
雅紀は上手く抑制しながら
座薬を押し当てる。
雅「かずー？ラクになる為だからね…
無理矢理にやるけど、ちょっと頑張るよ？」
和「…！うっ…んっ！」
雅「ごめん、痛いね…もうちょい…」
和「んっ…」
雅「…ごめんね〜」
痙攣した体に力が入って座薬を拒む。
和がいくら受け入れようとしても体がそれを
許してはくれなくて…
和は無理矢理に押し込まれる苦痛に
何度も顔を歪ませて耐えている。
頑張ってもらうしかない…
早く入れてやればやる程に
痙攣の時間は短くて済むから。
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作者名：空
| 作成日時：2013年6月20日 18時
