590.【5】胃洗浄 ページ40
［翔にぃside］
病院に到着した
和を処置台に寝かせる。
とりあえず、俺は飲んだ薬の量を把握したくて
智にぃに持ってきてもらった薬のゴミを
見せてもらった。
出されたゴミを見て言葉が出ない…
俺が「眠れなかったら飲みなね」って
渡していた安定剤と睡眠薬が7錠ずつ。
きちんと管理してやっていなかったことを
悔やまずにはいられない…
病院の薬だけで14錠。
さらに市販の物も合わせたら、いったい何錠
飲んだんだろう。
沢山飲むのは安易ではない…
和は何を考えながら薬を飲み込んだんだろう。
電話では偉そうに指示して「大丈夫」なんて
言ってた俺だけど、和を目の前にしたら
自分が一番弱くて情けないことを
思い知った…
看「潤くんは、外で待ってようね。
和くんの病室の準備手伝ってもらおうかな」
看護師の声に顔を上げたら不安そうな顔した
潤と目が合った。
しっかりしなきゃ…
安心させてやらなきゃ…
「大丈夫、ちゃんと守るから。」
しっかり頷いてやったら、和から離れるのを
嫌がっていた潤は、素直に顔馴染みの看護師に
くっついて処置室を出て行ってくれた。
雅「あのね、俺ね…上手く出来てないの。
またボーッとしてきちゃったから
早く助けてあげて？」
ここまで何とか自分を保っていた雅紀も
そろそろ限界みたいだ。
パニクり始めた雅紀を、智にぃは抱き寄せて
落ち着かせてやる。
正直、和には少しボーッとしていて欲しい。
胃洗浄は苦しくて可哀想だから…
看「翔先生、準備できました」
こんな時、ほんとに頼れるのは看護師達。
今だって和に本当に優しく触れて
準備してくれている。
「智にぃと雅紀で声掛けてやってくれる？
抑制は看護師達にお願いするから」
マウスピースを噛ませようとしたら、
弱々しく目を開けて俺を見た和。
その口が「やだ…」って小さく動く…
「ごめんな、頑張ろうな…」
俺はそっと頭を撫でてから
マウスピースを噛ませた。
すぐに看護師が顔にタオルを
掛けて頭を抑え込む。
まだ、そんなに抵抗する力はない…
俺は少しでも和が苦しむ時間が減るようにと
願いながら口にチューブを入れていく…
智「みんないるからね〜。」
雅「かず…ラクになるからね…」
智にぃも雅紀も一生懸命に声を掛けてくれて
看護師達も体を抑え込みながらも
さすったりして温もりを伝えてくれる。
和が嘔吐反応して、苦しそうに声を上げる度に
手を止めてしまいそうになる…
「もう少しだからね、かず…」
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月15日 18時
