586.【深刻な問題】 ページ36
［和side］
「ごちそう様…」
翔「おいで、和。」
はぁ…今日も夕飯、全部食べられなかった…
にぃ達も俺がいつもと違うって
気が付き始めてるみたいだし。
翔「診察させてね。」
翔にぃが優しく胸に聴診器をあてて
診察してくれる。
翔「どっか具合悪いところある？」
「んーん…ない…」
翔にぃに見つめられると何だか全部
見透かされる気がして慌てて目を逸らす。
翔「はは。怖がんなって。笑
何にもしないよ？」
そんな俺の気持ちも翔にぃは分かってる。
頭をクシャクシャに撫でてくれる…
「…ありがと、翔にぃ。寝るね…」
にぃ達の優しさに素直に甘えられないことが
苦しくて、最近は逃げてばっかり。
きっかけは学校に新しくきた先生だった…
声も体格も、あの先生に似ている。
嫌でも忘れることの出来ない、
俺にあの検査をした、お医者さんに…
幸い、何かの部活の顧問らしくて
俺との関わりはない。
だけど、紹介された日から毎日必ず
夢にでてくるんだ…
『検査くらいで、こんなになって…』
『みんな迷惑してんだからな…』
夢の中で繰り返される言葉に
もう寝ることが恐怖で仕方なかった…
智「かーずー、寝てる？」
やっぱり、にぃ達は俺の異変に気が付いて
くれてる。
毎晩、自分が寝る前には俺のこと
見にきてくれるんだ…
智「無理しないでね〜」
智にぃは優しく背中をさすりながら
声を掛けて部屋を出ていった。
もしかしたら、俺が寝たふりしてることにも
気がついてるんじゃないかな…
睡眠不足が続いて、体を起こすことが
できなくなった…
翔「…かず、安定剤飲もうか。」
「んーん、いらない…」
翔「どうして、そんなにドキドキしてんの？
恐いことあるの？」
聴診しながら目をバッチリ捉えてくる翔にぃ。
翔「かず、逸らさないで？」
目を逸らそうとしたけど、顎を掴まれる。
隠し通せるはずがない…
だけど、薬で寝るのは嫌なんだ。
きっとまた夢を見る…
翔「一人で抱え込むなよ。もう限界だろ？」
「ん…」
それから俺は泣きながら全部話した。
翔にぃは黙って話を聞きながら
背中をさすってくれていた。
いつの間にか智にぃも雅にぃも潤もいて…
雅にぃに至っては、俺より泣いている。笑
「くすり、やだ…ねたく、ない…」
翔「うん、分かった…」
その後は、俺が眠るまで一緒にいてくれて。
何度も何度も魘されて…
でも、目を開けると必ず翔にぃが
「大丈夫だよ」って笑い掛けてくれた。
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月15日 18時
