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［翔にぃside］
和は俺に促されて小さく深呼吸を
繰り返した後、また話し出す。
和「…話したく、ない、検査の、こと」
智「うん」
俺らは相槌をうつだけにして
和が話してくれるのを待った。
和「…思い出さなくて、いい、でしょ…？
あの、ね…こわ、いの…」
カウンセリングの回数を重ねるごとに
細部まで思い出す機会が増えて
それが和に負担をかけているんだと
分かった俺ら。
智「…そっか。気が付いてやれなくて
ごめんね。辛かったね」
智にぃが頭を撫でてやったら
和は小さくだけど笑ってくれた。
智「相談してみようか。電話してやろうか？」
和「…にぃが、…て？」
智「うん、いいよ」
智にぃは携帯を取り出すと
カウンセラーに電話してやった。
自分の言葉を代弁してもらった和は
俺の腕の中で、やっと力を抜いた…
智「かず？話し聞いてだって。
代われる？」
和は戸惑いながらも、携帯を受け取って
耳にあてた。
和「…せん、せい」
カ「和くん？こんばんは。」
和「…」
カ「話したくなかったら聞くだけでいいから」
和「…」
いつもなら黙りが通用するけど、今日は
電話だから…大丈夫か？って心配になるけど
カウンセラーはさすがプロ。
こういうことにも慣れているのだろう。
まるで和の心の返事が聞こえているかの様に
絶妙なタイミングで次の言葉を話し出す。
カ「無理して話したり
思い出す必要はないんだよ？雑談だけでも
散歩だけでもいい。カウンセリングの時間は
和くんの好きな様に過ごしていい時間。
無理矢理に聞いたりしないから。」
和「…」
カ「翔くんが許可してくれたら
課外カウンセリングも有りにしようか。笑」
和「…ふふ」
カ「無理しなくていいからね。」
和「…」
カ「じゃあ、智くんに電話代わってくれる？」
和「…せい、…りがとう…」
ほんとに小さくだけど呟いた和。
カウンセラーにはきっと届いただろう。
智にぃは、ふにゃっと笑って
電話を受け取ってからカウンセラーと
少し話して電話を終えた。
智「かずの先生は優しいね。よかったね」
和は智にぃの言葉に、自分が褒められた
みたいに「ふふ」って笑って照れた。
大好きな先生だもんね。
和「つぎ、にぃ達も一緒に、きて…？」
智「もちろん。俺でも翔でも
雅紀でも潤でも。指名してくれれば
いつでも一緒にいくよ？笑」
和「うん。じゃあ、順番…ふふ」
和は小さく笑ってくれて
「みんな、ありがと…」って呟いた。
かず？少しずつ乗り越えようね…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月15日 18時
