5人で生きてゆく…part12 (ページ19)

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［智にぃside］

カウンセラーは
和が行く気になったら
連絡下さいって言ってくれた。

最近の様子も聞いてみたけど、
特に変わったことはないみたい。

翔「ねぇ、無理矢理連れてったりしないから。
顔上げなよ…そんな小さくなってたら
苦しいだろ？」

リビングに戻ると、さっきと全く同じ場所で
小さくなって俯いたままの和と
近くに座って体に触れながら宥める翔の姿…

「かずー？先生ね、来なくてもいいって。
行きたくなったらでいいんだってよ？」

和は俺の言葉に少し反応を示して
顔を上げてくれた。

どこに誰がいるかキョロキョロ確認してる…

これ、和の癖みたいなもの。

ピンチになった時に、誰の元に逃げるか
誰に助けてもらえるか考えてるみたい。

翔「ばーか。誰もお前のこと
責めたりしねーよ」

それを知ってか
翔が和の頭をポンと小突いた。

和「ん…もう、行かない。カウンセリング…」

和は目を潤ませて俺らに「いいでしょ？」って
訴える。

翔「…かず？何か嫌なことあった？」

和「…ない」

翔「…どうして行きたくないの？」

和「…」

和は黙って俺を見つめてきた。

叱られてるとでも思っているのか
翔のことは見ようとしない。

翔もそれに気が付いたのか、俺に向かって
小さく頷いてくれたから
和室に入って和の傍に座った。

「かず…翔は叱ったりしてないよ。
和の気持ち分かるから大丈夫…ね？」

見上げた和の頭を、翔はクシャクシャ撫でて
笑顔を向けてやる。

それに安心したのか和から口を開く。

和「…かなくて、いい？
もう次の日程きめたくない…」

ほんとは許可してやりたい。

俺以外のみんなも、きっとそう思ってる。

だけど、ここでやめてしまえば
このまま止まってしまう…

翔も苦しそうに顔を歪ませた。

「…かず。行かないなら、それなりの理由が
必要だよ？兄達にちゃんと話して
それでも解決策がないなら、やめてもいい…」

ちょっと意地悪なやり方だけど
必ず理由はあるはずだからね。

俺らに出来ることはしてやりたい。

「話してくれる？和に分かることだけで
いいんだよ？みんなで考えるから」

和は黙って頷くと、雅紀と潤が和室に入るのを
待って小さく呟いた。

和「…話すの、嫌だから。」

「うん」

和「…のね、話すの、大変なの…」

翔「おいで、大丈夫だから…」

明らかに落ち着きがなくなって
じっと座っていられなくなった和を
翔は後ろから支えてやる。