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［和side］
雅「少しの間だけ、
手も横で我慢ね。」
雅にぃに、口元に伸ばした手を
体の横で握って抑えられて
体にも軽く体重を掛けて抑え込まれた。
今回は注射をされるわけでもないし
優しい先生だし…って何度も自分に
言い聞かせたけど、やっぱり恐くなって
しまって。
でも先生も、にぃ達も我儘な俺に
優しくしてくれる。
頑張ろうって思うのに、体がついてきて
くれない…
歯「ちょっとだけ、我慢ね〜」
大きい音がして機械が口の中に入ってくる…
削る器具が尖っていることを、
嫌でも思い出させるような音が響く。
「んー、ん…ん…」
体が震えて、口元もガクガク震えているのが
分かる…
開口器なんて嫌だ！…って思ったけど
使わなかったら、やっぱり俺は
口を開けてることができないから
仕方なかったんだなって思う…
恐くて仕方なかったけど、
智にぃの優しい声が耳元で聞こえてきて
安心する。
智「いーち、にー、さーん、しー……」
歯「終るよ〜」
智「はーち…」
歯「はい、おしまい」
たった8秒なのに、俺は汗びっしょり…
歯「ゆすいでいいよ〜。頑張れたね」
先生がタオルを渡してくれたから
俺はそれで涙をゴシゴシ拭いた。
後はベッドに移動して詰め物をしたり
薬を塗ってもらっておしまい。
歯「じゃあ、また次の検診の時に
お邪魔するからね。さようなら」
先生は俺の頭を撫でてくれる。
照れくさいけど、この先生の手からは
優しさが沢山伝わってくるから大すき。
「先生、ありがとう…ございました」
歯「どういたしまして。
次に会う時は、また背が伸びてるんだろーな」
ニコッと笑い掛けてくれる先生の笑顔は
何だか雅にぃにもよく似ていて。
「ふふ。ばいばい！」
俺は嬉しい気持ちで病院を飛び出した。
家に帰って雅にぃとゲームして遊んで、
潤のこと迎えに行って…
夕方には翔にぃが帰ってきた。
翔「ただいまー。」
「おかえり！！」
翔「お、元気そうだな。」
「うん、治してもらった！あーん」
翔にぃも心配してたから見せてあげた。笑
翔「はは。どれどれ？」
翔にぃは見てくれた後「えらかったな」って
やっぱり頭を撫でてくれて…
俺が頭を撫でられるのが好きなのは
いつも、にぃ達が撫でてくれるから
なんだなって思って嬉しくなった。
「これ、もらった！」
俺が先生からもらったミラーを
見せたら「よかったな」って笑ってくれて。
歯医者さんは恐かったけど…
乗り越えられたことは嬉しかった。
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月15日 18時
