510.【フラッシュバック】 ページ10
［雅にぃside］
今日は智にぃが
打ち合わせで出掛けてるから
俺は和と留守番。
だけど昼ごはんを食べさせようと思って
部屋を覗いたら、和は胸に手を当てて
苦しがってた。
病院に電話したら、翔にぃは外来の
途中だからって言われて、
とりあえず待たせてもらうことに。
俺一人じゃ、発作起こした時に怖いからね。
看「今、診察されてる方の後に
和くんの診察入れてあるので。
ここでお待ち下さい」
お世話になってる看護師さんに案内されて
翔にぃが診察してる部屋の前の椅子に座った。
俺の肩に頭をのせた和は、早くて浅い呼吸を
繰り返してる。
「かず、次だからね。大丈夫？」
和「ん、へいき。」
心配で顔を覗き込んだら、意外としっかりした
返事が返ってきて安心した…
肩をポンポン叩いてリラックスさせる。
『押さえつけてでもいいから、
さっさと済ませろ！！』
突然、診察室から響いてくる男の人の叫び声。
それを聞いて、近くにいた看護師がフォローの
為にドアを開けて中に入った。
ドアが開いた時に、怒鳴ってる父親と
子どもを押さえつけるように抱きかかえる
翔にぃが見えた。
『ぎゃー、やー』
『じっとしてろ！』
響いてくるのは子どもが泣き叫ぶ声と
父親が怒鳴りつける声。
和が恐がっちゃう…
そう思って俺は和をそっと自分の方に
寄せたけど、全然間に合わなくて…
和は俺の肩から頭を離すとポロポロ泣き出す。
和「や…。…わい」
体をガタガタ震わせ始めた和。
「大丈夫。かず、だいじょうぶ」
しっかり抱きしめるんだけど
和はそれを受け入れようとしない…
その間にも怒鳴り声と泣き叫ぶ声が
響いてきて。
「かず、違うところ行こう」
支えて立たせたけど、震えが止まらないから
和は自分の力で立つことができない…
床にペタンと座り込んでしまった。
看「大丈夫ですか？」
すぐに、看護師さんが異変に気が付いて
車椅子を持ってきてくれるんだけど、
パニックの和は、支えてくれる手を全部
払いのけてしまう…
待合室にいた人達も何事かと集まってきて…
和「ぎゃー、やー」
和は全てを拒否して、反り返って泣き叫ぶ。
手に負えなくなった和を見て、
数人の男の看護師が来てくれて
鎮静剤を打とうとした時…
和「ぎゃー」
和は自分を守る為に意識を手放した。
看「すぐに翔先生呼んできます」
ベッドに寝せてもらった和。
俺は頭を撫でながら、涙をそっと拭った。
和の手は冷たくなっていて…
可哀想でギュッと握りしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 559人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
