5人で生きてゆく…part11 (ページ7)

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［智にぃside］

翔「こいつが
弟の和也。お願いします。」

病院よりも落ち着いた雰囲気を漂わせている
クリニックに和も少し安心したみたい。

翔の横に引っ付いてるけどペコリと
頭を下げた。

後「よろしくお願いします」

優しく声を掛けた先生に、和はふわっと
笑顔を返した。

翔「な、和。優しそうだろ？
写真より、さらにイケメンだしな。笑」

翔がからかうと「あの写真、見せたんですか？
見せるならもっとキメたのに…笑」って
笑っている先生。

話しながら辿り着いた検査室も
雰囲気的には病院という感じではない。

後「椅子でもベッドでも、好きな所に
座って下さいね」

和は翔と俺に挟まれてベッドに腰掛けた。

後「いくつか質問するからね。
和也くんが分からないことは、
翔さんが答えてくれても大丈夫なので。」

先生はパソコンを操作しながら、
事前の問診をしていく。

後「じゃあカメラも、いつもチューブ通してる
左側でいいですね。」

翔が頷くのを見た和は、問診が終わって
ホッとしたのか俺の肩に頭をのせてきた。

後「ゆっくりでいいから、これ飲んでね。
胃の中の泡を消してくれる薬だからね」

先生は和に小さい紙コップに入った薬を
渡してくれた。

和「…んぶ、飲むの？」

見上げて不安そうに尋ねた和に
翔は優しく頷いて頭を撫でてやる。

美味しいものではないから、少し時間が
かかったけど、頑張って飲んでくれた。

後「次はね、鼻の通りが良くなる薬を
スプレーするよ。」

翔「かず、椅子座ろうか」

和をベッドから椅子に移動させた翔は
後ろに立って、さりげなく固定する。

後「痛くないからね」

和が頷くのを待ってくれる先生。

噴射された薬にビクッとした和だけど
大人しくしていてくれた。

後「麻酔のゼリー入れるね。
ちょっと上向けるかな？」

和「んーん」

翔「かず、チューブ入れてる時に入れてる
ゼリーと同んなじだから。
ちょっとだけ上向いて？」

不安そうな顔だけど、翔に促されて
和は渋々、顔を上に向けた。

後「危ないから、終わるまで動かないでね」

先生は頷いた和に優しく笑い掛けてから
顎を軽く支えてゼリーを入れてくれた。

ここまでは順調。

少し落ち着きがなくなってきてしまったけど
一人で座ってくれてるし
俺たちや先生の言葉にも
きちんと反応してくれている。

翔と先生で、ベッドに寝かせるのは
なるべく最後の段階にしようって
話し合ってくれたみたい。

俺は、不安そうに振り向いた和の頭を撫でた。