543.【4】 ページ43
［雅にぃside］
機嫌良く、先生とも
楽しそうに話している和。
だけど、診察となるとやっぱり違うみたいで…
和「いーの、やんなくっていい！！」
先「ちょっと診るだけ。嫌なことしないよ？」
和「んーん。これも、そっちも嫌！」
渡された体温計と、構えられた聴診器を
指差して拒否を続ける和。
先「ゲームしながらでいいよ？
パパッと終わらせるから。ね？」
和「んー、やんない！！」
智「あ、こら！投げたら壊れるでしょ？」
体温計を振り上げて投げようとしたところで
智にぃに取り上げられた和は
拗ねてそっぽを向いた。
和「やんない！出てって！」
智「先生に出てってはないでしょ？
和の為に来てくれてるんだよ？」
和「来なくていい！出てけ！！」
だんだんセーブ出来なくなってきた和を見て
智にぃは最終手段に出た。
智「じゃあ、翔に報告できないね。
先生に「出てけ！」って言ってるってメール
しちゃうからね。」
和「…」
パッと顔を上げてキョロキョロした和の目から
涙がポロポロ出てくる…
和「…やだ、…んばる」
智「ん、じゃあこれ挟んで？」
智にぃは先生と反対側のベッドサイドに
腰掛けて体温計を挟んであげて
ギュッと抱きしめた。
和「…にぃに、頑張ってるって、言いたい…
嫌だって、言ったこと、言わないで…？」
智「ふふ、もちろん。和は頑張ってる。
メールもするし、夜になったら電話も
しようね。」
和が望んでいるのは、自分が頑張ってるって
翔にぃに報告すること。
あのままセーブがきかなくなって
暴れてそれが出来なくなれば、頑張ったって
報告が出来なくなる…
そしたら一番辛いのは和だから。
だから智にぃは、この状況でも
ちょっと厳しい手をつかった。
でも、最終的にはそれで和を助けられるって
分かってるから…
先「和くん、そのままでいいからね」
今度は素直にコクンと頷いた和。
智にぃが抱きしめたまま、少しだけ隙間を
作って、先生が聴診していく。
先「かずくん、ゆっくり息してね。
恐いことないからね…」
和「…ん、先生、ごめん、ね…？」
先「ん？いいよ、謝らなくて。
ちゃんと頑張れてるから、大丈夫だろ？」
和「…ふふ。うん。」
和は智にぃの体に抱きついた手にギュッと
力を入れて、抱きつき直してから
顔を押しつけて甘えている。
智「…よしよし。甘えんぼさんですって
メールもしなきゃな。笑」
和「…いい、それはしなくて…」
和は照れて、益々顔を隠した。笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
