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［翔にぃside］
「ここ、座って？」
和をベッドに座らせて
俺が和の前に座ろうとしたら
手をグイグイ引っ張られる…
「ん？なに？」
和「そこ、やだ…こっち、きて…？」
ベッドをポンポン叩いて、
隣に座って欲しいって訴える和。
ほんとは目を見て話をしたかったんだけど
和が嫌だっていうなら
やめた方がよさそうだ…
そう思って、俺は頭を撫でながら
隣に腰かけた。
和「…しょ、にぃ、…てな、い？」
涙目で見上げてくる和。
「ん？」
和「…おこ、って、ない？」
「うん、当たり前だろ。怒ってないよ」
頭を撫でたら嬉しそうに笑って
肩に頭をコテンと預けてきた。
「ねぇ、かず？」
和「…なに？」
「他の病院が嫌な理由、他にあるんだろ？
言ってごらん？」
和「ん…ないよ…？」
「だって、おかしいだろ？
俺が検査できるわけじゃないんだよ？
どこで検査しても知らない先生だよ？
どうして、わざわざ苦しい方選ぶの？」
和「ん…」
「ごめん、和。別に責めてるわけじゃないよ。
でも、分かってやれないから。
教えてくれない？」
和「ん…きい、びょ、い…わい」
「ん？」
和「んー、やだ…」
聞き取れなかったから顔を覗き込んだら
手で胸をギュッと押し返してきた…
今の和は、俺と目を合わせるのが嫌みたい。
「ごめん、ごめん。」
和「ん…」
胸に顔を埋めてきたから、
そのまま抱きしめて頭を撫でる。
「なに？」
和「…きい、病院、やだ」
「大きい病院？」
和「ん…」
「どうして？」
和「せんせ…いっぱ、い…こわい…」
「そっか。分かった」
俺の病院じゃなかったら、大学病院に
連れていかれると思って
嫌がっていたんだ…
「俺の病院より、小さくて安心な病院
探してやるから。それだったらいい？」
和「ん。」
「よかった…ごめんな、分かってやれなくて」
和「んーん…しょ、にぃもいっしょ、ね…？」
やっと顔を上げてくれた和は
小さく笑ってくれた。
それから俺はリビングに和を戻して
学生時代の友達や先輩、後輩に連絡をとって
情報収集した。
和にはなるべく負担なく、
不安も少なく検査を受けて欲しいから。
できることは、全てしてやりたいんだ…
運良く、学生時代の後輩が専門のクリニックに
勤めていることが分かって
とりあえず明日の仕事帰りに
話だけしてくることにした。
和のこと分かってもらってからの方が
お互いにやりやすいからね。
和はあんなんだし…笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
