540.【翔にぃの研修】 ページ40
［翔にぃside］
和「ふふ。
せんせー違うよ。
ここ押すんだよ！」
先「お！すごいね、和くん。
やっぱり上手だね。」
和「ふふ。」
先輩にベッドサイドに座ってもらって
楽しそうにゲームを楽しんでいる和。
今回は元気だけど、俺の都合で入院させた。
4日後に俺は長野に研修に行く。
もちろん和には、ちょっと数値が悪いからって
言ってある。
理由なしでなんて入院してくれないからね…笑
和のことを置いていくのは心配だから
研修に行くかどうか悩んでたんだけど…
今回は和の病気の様に、まだ治療法が
見つかっていない病気の研究について
勉強できるみたいで。
もちろん参加するのも、そういう患者を抱える
医師たちってことで俺も参加したくなった。
先輩も「協力するから行って来い」って
言ってくれたし。
だから、研修の少し前から入院させて
先輩の診察に慣れてもらうっていう計画。
今のところ、それは順調に進んでいて…
和「せんせー、来て？あのね…」
和はやっぱり長い時間を担当医として
支えてくれた先輩のことは、
すごく好きみたいで慕っている。
そんな仲良くされると、ちょっと寂しいん
ですけど…笑。ってくらい仲良し。
だけど、やっぱり診察や処置は不安みたいで
「なんで翔にぃじゃないの？」って
拗ねて膨れてる…
先輩が「たまには、やらせてよー。笑」って
笑ってフォローしてくれるけど
和はなかなか、首を縦には
振ってくれないんだ…
そんな和を見て、俺の心配は募るばかり…
考え込む俺に、先輩はコーヒーをいれてくれて
優しく話し出した。
先「俺が和くんの担当医になった頃のこと
思い出してごらん？
診察拒否は今の100倍だっただろ？笑
大丈夫だよ、上手いことやるから。
しっかり勉強してこい！！な？」
先輩の話が心の奥まで入ってきて…
その日、俺はなかなか進まなかった荷造りを
終えることが出来た。
あの頃、他人は誰も信じられなくなった和が、
最初に心を開いたのが先輩だった。
そのことを思い出したら、先輩の言葉通り
「大丈夫」って思えたんだ。
研修を明後日に控えた俺は
和にきちんと話をするのは「今日にしよう」と
しっかり決心して家を出た。
智「あ、翔だ〜。おはよう」
和「！！おはよう、翔せんせー」
和と一緒に朝食を食べながら
柔らかく笑い掛けてくれる智にぃ。
メールで伝えてあるから
俺のことも気に掛けてくれてるんだろう。
その優しい笑顔に、いつも救われる…
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
