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［和side］
せっかく叱られずに
済んだのに、俺は翌日の夜
あまりの不自由さに点滴を抜いた。
布団に逃げ込んだら翔にぃが
「出てこい」って怒ってる…
翔「もう…出なさい。」
布団が捲られちゃったから、
ギュッと丸くなってみたものの
そんなの翔にぃには通用しなくて
すぐに腕を掴んで座らされた…
翔「ちゃんと話せないなら、
いつまでもこのままだからな。」
翔にぃは椅子を持ってきて、
俺の前に座った。
翔「これ、やっていいの？」
抜いてしまった点滴を顔の前に
突きつけられた。
「んーん、だめ…」
翔「なんで同んなじこと何回もするの？」
「だって…邪魔だったんだもん。」
翔「邪魔なら抜いていいの？
気持ち悪かったら抜いていいの？」
「ん〜」
当たり前の質問にイライラして
そっぽを向いた。
翔「かず？俺だから、そうやって
言うこと聞けないんだよな？
甘えで言うこと聞かないなら
和の担当医やんない。やめる。」
「…や」
思ってもいなかったことを言われて
返す言葉が見つからない。
翔「先輩の言うことなら聞けるもんな」
「んーん…やだ…」
翔「やだじゃない。ダメなものはダメ」
「しょ、にぃがいい…」
きっぱり言われて我慢してた涙が
ポロポロ出てきちゃう…
翔「俺がいいなら、ちゃんと約束したこと
守りなさい。病院の先生との約束は
守らなきゃいけないよ？」
「…しょ、にぃがいい」
翔「だめ。今は家にいるけど
和の担当医として話してんの。
ちゃんと話しが聞けてからね。」
翔にぃに向かって伸ばした手を
戻されてしまう…
翔「家でも病院と一緒。
にぃちゃんだけど、病院にいる先生と一緒。
難しいけど、もう使い分けられるだろ？」
「ん…」
翔「こっち見てごらん？」
顔を上げたら翔にぃは、ニコって笑った。
翔「約束は守らなきゃダメ。
でも、翔にぃでも翔先生でも、
何も変わらないから。
和のことは変わらず大事だし、守るから」
「ん…」
翔「約束できる？点滴は抜いてはいけません。
担当医の言うことは聞くこと。
どう？守れる？」
「…は、い」
翔「よし、いいこ。笑」
翔にぃは笑って頭を撫でてくれた後
俺の隣に座って「おいで？」って
両手を広げた。
「…いまは、にぃ？せんせい？」
翔「ん？はは、どっちでもいーよ。笑
にぃでも先生でもギュッてできるから。
ほら、おいで？」
「ん…ごめんなさい」
抱き付いたら
翔にぃも力いっぱいギュッて返してくれた。
だいすき…翔にぃも、翔せんせーも…
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
