524.【2】 ページ24
［和side］
微熱と
ちょっとした怠さだけだから
入院になると思ってなくて。
イライラをぶつける場所がなくて
病室を出てきた…
当たり前だけど、俺が入院してても
してなくても病院はいつも変わらない。
沢山の人を閉じ込めてさ、なんなんだよ…
歩けば歩くほどに虚しくなる…
体が重くて談話室の椅子に座ったら
智にぃが声掛けてきた。
心配して付いてきてくれたんだって
すぐ分かった…
だけど、素直に甘える気には
まだまだなれなくて素っ気ない返事を返す。
それでも智にぃはフニャフニャ笑って
黙って隣に座ってくれた。
翔「あ、ここに居たのか…」
しばらくして翔にぃも来て座る。
翔「色んな人にさ、和くんが院内を
散歩してますよ。って言われてさ。笑」
翔にぃの言葉に
智にぃは「ふふ」って笑ったけど、
しばらくして張りつめた空気に変わる…
翔「納得いかない？」
翔にぃが俺を真っ直ぐに見つめてるのが
分かるけど、俺は顔を上げずに頷いた。
翔「でも今はね、入院が必要。
それは分かる？」
黙って首を振ったら、翔にぃは「そっか」って
小さく呟いて黙ってしまった。
分かってるよ…納得いかなくても入院しなきゃ
いけないことくらい。
でも、その繰り返しに…
どうしてもイライラする気持ちを
我慢することができない。
病院を飛び出してしまいたいけど
そこまでする勇気は今の俺にはなくて…
やっと呟くことが出来た言葉が
「…へや帰る」だった…
談話室を出る俺に
2人とも黙って付いてくる。
ほんとはね、甘えたいんだよ？
でも、そんな素直にはなれなくて…
「帰れよ！入ってくんな！！」
病室の前で、振り向かずに大声で叫んで
すぐにドアを閉めた。
当然、病室にはひとり…
自分で「入ってくんな！！」って叫んだのに
なぜか寂しくて、虚しくて…
もう、どうでもよくなった。
点滴スタンドを蹴飛ばして倒したら
腕がすごく痛くて…
腕に刺さった針に引っ張られてる。
それに対して、さらにイライラして
俺は点滴を引っ張って抜いた。
そこまでやったら、もう何もかもが
嫌になって…
勢いよく立ち上がってドアを開けて
病室を出ようとしたら、
目の前に智にぃと翔にぃがいて…
智にぃに抱き締められて病室に戻されたけど
腕を振り回して、力の限りに抵抗した。
叱られるとか、にぃ達のこと悲しませるとか
そんなのどうでもよくて。
感情だけを頼りに、全力で抵抗して
叫んで泣いた…
もう嫌だったんだ…
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
