521.【3】 ページ21
［翔にぃside］
大人しくベッドには
寝転んでくれたけど
お腹の上にのせた手を意地でも
降ろそうとしない和。
智「かず？マッサージしてもらおう？
このままじゃ、どんどん辛くなるよ？」
和「んーん…もう、いい。やだ…」
潤んだ目で智にぃを見つめて「助けて」って
訴える和。
今の俺は敵だからね。笑
「昨日みたいに最初だけ頑張れば
ラクになってくるから。な？」
和「んーん…」
俺とは一切、目を合わせようとしない。
ひたすら智にぃに「助けて」って
目だけで訴え続けてる。
「かず？智にぃに手握っててもらう？」
和「んーん…やんない」
「ねぇ、こっち見て？」
和「んーん」
智「かず？ここにいるからさ、
翔の話しちゃんと聞いて？」
和「んーん。…やだ。」
俺のことなんて見たくもないらしい…笑
智「じゃあ、朝ご飯の準備してこよっと」
いきなり呟いた智にぃは、俺をギュッと
引き寄せて「俺いたら甘えるから。
あと頼むね」って笑って出ていった。
和は「…さとにぃ」って捨てられたみたいに
切ない顔して呟いてる。笑
「頑張ったら来てもらおうな」
和「…にぃ、いなきゃ、頑張れない。」
「頑張れなくてもいいよ。勝手にやるから」
和「やらせないもん」
和は完全に拗ねてしまって
いくら言っても手を出してくるし
体から力が抜けないから全然進まない…
だから唇の色は悪くなる一方で
顔も歪めている。
目をギュッと瞑って、俺の言葉にも
反応しなくなった。
可哀想だけど、最終手段をとることにした。
「手どけて。」
ちょっと強い口調で無理やり手をどかして
軽く押さえて、胸に器械をくっつけたら
ビックリして目を開けた和。
「やらないはないよ？
嫌だけど、頑張らないと病院に戻ることに
なるから、頑張ろうな」
ポロポロ泣き出してしまったけど、
ここは和の為だと自分に言い聞かせる。
器械だったら継続してマッサージ
してくれるから、和が力を抜いた隙に
効果が出るからね。
スイッチを入れたら、体にギュッと
力を入れて苦しそうに息をもらす和。
「このまま、ちょっとだけ我慢してな？
智にぃ呼んであげるから」
コールボタンを押したら、智にぃがそっと
顔を覗かせた。
智「お、頑張ってるね」
涙をポロポロ流して、何も反応しない和の頭を
優しく撫でてくれる智にぃ。
俺が「ごめん、泣かした」って呟いたら
フニャッて笑い掛けてくれた。
安心するんだよね、その顔。
和の頭を撫でる手は、ほんとに愛情たっぷり…
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
