517.【4】 ページ17
［翔にぃside］
和は泣きながら
謝っている…
和「ご、めん、なさい…」
俺は和への怒りよりも、自分の話がきちんと
伝わらなかったことが悔しくて
情けなくてたまらなかった…
和「…いわなきゃ、って、おもった、の…
でも…びょ、いん、こ、わかった…」
「…」
返事してやらなきゃって思うけど
言葉が上手く出て来なくて…
そしたら智にぃが俺の代わりに
言葉を繋いでくれた。
智「分かるよ、和。
でも、命に関わることだって翔が教えて
くれたよね？」
和「…は、い」
智「だったら守るべきだったんじゃない？
一生懸命に話した翔のこと、
和は裏切ったんだよ？ちがう？」
和「…くない」
智「うん、違くないよね。
翔はね、和のこと守りきれなくて悔しいの。
自分の話が、ちゃんと和に届かなくて
和が同じ間違えしたことが悔しいの。
翔の苦しい気持ち、和に分かる？」
智にぃの口調はすっごく優しいけど
言っていることは、俺なんかよりずっと
厳しい。
和は泣きながらも、必死で頷いて返事して…
呼吸を整えようとしてる。
智「俺はね、翔のことも和と同じように大切。
だから翔が和のせいで、こんなに苦しんでて
可哀想って思うよ？
いけないことしたのは和でしょ？
なのに、なんで翔が苦しいのか分かる？」
和「ん…分か、る」
智「だったら、言ってごらん。」
俺は正直、過呼吸の寸前で苦しそうに
呼吸する和が可哀想で止めようと思った。
これ以上は、無理だと思ったから。
でも、和は「はい…」って、しっかり返事して
自分の力で呼吸を整え始めたんだ。
少し時間がかかったけど、和は自分の口で
話し始めた…
「俺が自分の体を大事にしなかったから」
「翔にぃは俺のこと大事だから」
「守ってあげようって思ってくれてるから」
言い終えた和は、真っ直ぐに俺を見つめて
「もう、ぜったいに、しない。
ごめん、なさい。」って謝って
抱きついてきた。
まだ小さくて華奢な体が、俺の腕の中で
震えて泣いている…
「…ん」
もっと言葉を掛けてやりたいのに
やっぱりどうしても、上手く言葉が出せなくて
これが精一杯…
それでも和は安心してくれたのか
我慢してた分が一気に押し寄せて
泣き過ぎて、苦しそうに呼吸を始める…
雅「かず、落ち着くまで、こっちおいで？」
紙袋を持った雅紀が、俺の手から
和を受け取って抱きしめながら
声を掛けてくれる…
「…めんなさい、かず…
おれ…また、まもって、やれなかった…」
気が付いたら俺は泣いていた…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 559人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
