516.【3】 ページ16
［智にぃside］
夜中、
誰かが部屋から出ていく
ドアの音で目覚めた。
続いてすぐに、またドアの音がした…
もしかしたら、和が起きちゃったのかな…って
思って俺も廊下に出たら
和の叫び声と翔と雅紀の声。
リビングを覗いたら、和の手から
翔が何かを取り上げたのが分かった。
和「あ、ダメ！！」
雅紀から逃れるのに必死になっていた和は
翔に取り上げられて焦って叫んだ。
翔「雅紀、ソファー連れてきて」
和「やだ！離せ！触んな！！」
「かず？潤が起きちゃうから、叫ばないで？」
俺は、和が大声を出したから
リビングに入ってそれを止めた。
翔「和、これ、何？」
テーブルの上に出された薬のゴミ…
翔がさっき和から奪ったものだ。
和「…」
翔「これは何って聞いてんだけど…」
いつになく厳しい口調の翔。
和「…知らない！」
だけど、和も意地になってるから反抗する。
翔「バカか、お前は！！」
翔は立ち上がって和の頭を叩いた…
翔「和は叱られなきゃ分かんないんだな？」
和「…」
翔「叱られて泣かなきゃ
理解できないんだな？」
和「…ちがう」
翔「違くないだろ」
和「ちが、う…」
翔「じゃあ、何が違うんだよ？」
和「…ち、がうもん。」
翔「そうやって泣けばいいと思ってんだろ。
通用しないからな？
さっさとここに、薬持って来い！！」
翔は和のことを無理やり立たせると
背中を思いきり押した。
雅「ほら、取りにいくよ。」
雅紀がこの間のように一緒に行ってやる。
雅「これで、全部だって…」
テーブルの上に広げられた薬。
この間と同じ物の他に
違うものが2種類ある…
全部で3種類、買ったってことだ。
どれも睡眠導入剤…
翔「買ったのいつ？」
和「…」
翔「和、答えないなら外に放り出すよ？」
今の翔なら、ほんとにやりかねない…
和もそう思ったのか、一生懸命に首を振る。
和「んーん…月曜日」
今日が金曜日だから結構経つ…
翔「何回飲んだ？」
和「…昨日、いがい」
翔「どれ飲んだ？」
和「…いろいろ」
翔「混ぜて飲んだってこと？」
小さく頷く和。
翔は悲しそうな顔になっていく…
翔「服用量、守った？」
和「んーん…」
翔「…」
翔は下を向いたまま両手をギュッと
握りしめて何もしゃべらない。
和「…しょ、にぃ、ごめん、なさ、い…」
それを見て不安になって
泣いてしゃっくり上げて謝る和。
和「ねぇ、ご、めんな、さい…ごめ、なさ…」
和の声だけがリビングに響いた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
