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［智にぃside］
帰宅するのが
予定よりもかなり遅れてしまって…
俺は慌てて和の部屋に駆け込んだ。
雅「あ、おかえり。まだね、起きないの」
「そっか、大変だったね。ありがとう」
俺の言葉に雅紀はにっこり微笑んだ。
「翔は？」
雅「今ね、潤に説明してるとこ。
和のこと見たら、泣いちゃってさ…」
「そっか…」
まぁ無理もないだろうね。
潤は和が拘束されてるとこ
見たことなかったしね。
しばらくして、翔の背中にくっついたまま
潤が戻ってきた。
翔「おかえり、智にぃ。」
翔はすっかり、お兄ちゃんの顔だ。
ほんと頼もしいよ…
翔「じゅん？ここ座って？」
潤「んーん…」
ベッドサイドに座らせようとしたら
潤は首を振って、翔の背中に顔を押し付けた。
まだ不安なんだろうね…
翔「ちょっと聴診したいから。
座らなくて良いから待ってて？」
潤「んーん…」
潤は翔にくっつく腕に力を入れた。
今は離れたくないんだもんね…
翔「じゃあ、くっついててな」
翔は腕をポンポンしてやって優しく
微笑んだ後、和の胸に聴診器を当てていく。
翔「うん、発作は大丈夫そうだね。
よかった…」
俺らから安堵のため息がもれる…
潤も背中から顔を出して、和を見ている。
雅「潤？俺とお風呂入ってこようか。いく？」
潤「ん。いく…」
潤は翔の背中に、もう一回ギュッと抱きつくと
雅紀の方へ歩いていった。
雅「おいで。じゃ、いってきます」
潤の手を引いて、雅紀は部屋を出て行った。
翔「時間的にそろそろ起きるから、
潤のこと連れ出してくれたんだね。」
翔から昼間、雅紀が泣いていたことを
教えてもらった。
俺が帰って来てからは、すっかりお兄ちゃんに
なってたから気が付かなかったよ。
そんな話を翔としていたら、
和が小さく魘され始めた。
翔「かず？お家だよ？分かる？」
和は目を開けずに、顔を左右にブンブン振って
苦しそうに魘されている…
翔「かず？」
和「…ぎゃー」
目を開けた瞬間に、全く状況が理解できず
バタバタ暴れて泣き叫ぶ和。
手の拘束が恐怖心を煽っているけど
今外したら大変なことになりそうだ…
翔「薬のせいもあるから、ちょっと待とう…」
尋常じゃない泣き叫び方と暴れ方に
目を背けてしまいたくなる。
でも、和も闘っているから
俺もしっかり現実と向き合った。
翔「智にぃ、声掛けてみて？」
「かず、分かる？にぃだよ？」
俺は力尽きて静かになった和に
そっと歩み寄って、声を掛けた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年3月24日 11時
