5人で生きてゆく…【双子の誕生】 (ページ5)

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5.【2】ページ5

［雅にぃside］

14年間、末っ子として
家族の中にいた俺。

周りの人からは「お兄ちゃん達」と「弟くん」
ってくくられてたから、甘えたい放題の
やりたい放題。

智にぃも翔にぃも、歳の変わらない俺を
本当に可愛がってくれたから。

翔にぃだって「俺の翔にぃ」だったんだから。

何だか双子に自分のポジションをとられた様な
そんな感覚。

今までは何でも俺が中心だったのに
注目が全て双子に向いてしまった感じ。

実際はね、全然そんなことないんだけど…

小さいことが少しずつ積み重なって
そこに被害妄想がプラスされ…

気が付いたら自分が被害者みたいな感覚に
陥ってて。

それが、とうとう爆発した。

夕食後に食卓でお茶してる
お父さんとお母さん。

ソファーに座った智にぃと翔にぃに抱かれた
和と潤。

ほらね？

俺の居場所ないじゃん。

そう思ったら無償にイラついて…

「俺が座るんだから、どけよ！」

気が付いたら双子の腕を掴んで
にぃ達の膝から引きずり降ろしてた。

当然、上手く足を着くことなんて出来ないから
ゴンッ！って音と共に、ひっくり返った双子。

和「ぎゃー」

潤「ぎゃー」

2人ともわけが分からず大泣きだ。

父「雅紀！！」

でも、その声より大きな怒鳴り声に
俺はビクッとなった…

［智にぃside］

母ちゃんはひっくり返って泣く双子を
すぐに抱き上げて寝室に入った。

父「雅紀…なんでこんなことした？」

一度は怒鳴った父ちゃんだけど
雅紀の目を見つめて優しく問い掛ける。

厳しい目をした父ちゃんは怖いけど
芯が通ってるから、俺らは一目置いてるんだ…

雅「…」

父「何か理由があったとしても
力でそれを通そうとするのは間違ってる」

黙りを通そうとする雅紀に
「そう思わないか？」って問う。

雅「…」

父「雅紀？口あるだろ？自分がしたことに
責任もちなさい」

雅「…」

雅紀は潤んだ目で父ちゃんをキッと睨んだ。

父「お前が理由なくやるとは思ってないから」

父ちゃんは優しい眼差しで雅紀を見つめる。

雅「…れの、にぃち…ん、だもん…」

父「ん。」

雅「…れの、…えだ、もん…」

父「ん。」

雅「…れ、いばしょ、ない…ゃん。」

そこまで言うとポロポロ泣き出して…

父ちゃんは雅紀の気持ちを受け止めて
宥めながら「みんな、お前に対する気持ちは
変わってないから」って。

「落ち着いたら、謝りなさい」ってだけ
伝えて風呂にいって。

雅紀も素直に頷いた。