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［翔にぃside］
『バンッ！』
テーブルに置いてあった
新聞で思い切り頭を叩かれて…
「…ってーな！」
キッと睨んで立ち上がったら腕を掴まれる。
父「話、終わってないだろ…？」
「…」
父「できない約束ならするな。
言いたいことがあるなら
その場で言いなさい。」
「…」
父「…話も聞かずに駄目とは言わないから。」
「…」
父「翔？」
「…っ」
分かってる。
親父はいつだってきちんと話を聞いてくれた。
反抗して門限を破った時も、お酒を飲んで
酔っ払って迎えにきてもらった時も。
思いっきり叱られるけど、その後に
俺の話を聞いてくれるんだ…
悔しいけど、俺の負け。
親父には到底敵わない…
まぁ、闘うのが間違えなんだろうけどね。笑
でも俺はここで素直にそれを認められなくて…
父「しょう？」
「…っ」
この後に及んで、何か一言でも言い返して
やろうとする俺は、ほんとに捻くれてる。
「っ、…」
だけど頑張っても一言が出せなくて。
言葉を発したら涙が零れそうで…
俺は親父に掴まれた腕を乱暴に振り払って
部屋に逃げ込んだ。
こういう時、俺は決まって智にぃのベッドに
潜り込む。
この匂い、何だか落ち着くんだ…
［智にぃside］
父「…分かってんだろ、翔は。」
母「んふふ…」
風呂から上がったら闘いは終わってた。笑
いつものように優しく微笑む母ちゃんと
「お前のベッドに潜ってるから
よろしくな！笑」ってどっしり構えてる
父ちゃん。
雅「ねぇ、翔にぃは？泣かしてないよね？」
翔のことが心配で、父ちゃんに問いただす雅紀。
いつもの光景だ。笑
父「お前はほんとに、お兄ちゃん子だな。」
父ちゃんに頭をポンポンされれば「うん！
だって兄たちカッコいいもん！」ってさ。
父「ふふ…そうだな。雅紀もカッコいいよ？」
雅「あひゃ！俺は駄目だよ、バカだもん！」
雅紀は照れてソファーに寝っ転がった。
さてと…
翔のこと見てくるかな。笑
トントン…
自分の部屋なのにノックするっていう
何か変な感覚を何度もしてる俺。
翔「…」
そして毎度のことながら返事はない。笑
「ほーら。何してんの？人の布団で。」
布団に包まって丸くなった背中をトントン
叩けば「…ん〜」って中からくぐもった声が
聞こえてきて。
「叱られるの分かってて、何で相談もなしに
開けたのさ。」
翔「…」
「ほら、泣いてないで出ておいで？」
からかったらバフッて勢いよく出てきた。笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月5日 20時
