26.【3】 ページ26
［翔にぃside］
翌朝の午前中、
俺は事故の怪我についての
説明を詳しく受けて
それから病室に戻された。
昨日は足の痛みが強くて気が付かなかったけど
顎と左肩を縫合してることも知らされた。
鏡で見たら、顎には大きくガーゼが当てられて。
傷口を見る勇気はないから、
そっとしておいた。笑
昼過ぎ、何やら銀色のトレーを持った先生と
看護師さんが入って来て…
「何かされる…」と悟った俺。笑
だから、モゾモゾと布団に逃げ込んだ。
先「翔くーん？出てきてー？」
「…だって…」
先「んー？何？もしかして怖いの〜？笑」
昨日出会ったばかりなのに、何か昔から
知っていた様な感覚に陥るほど、
自然に接してくる先生。
先生は「傷口の消毒するだけだよ」って
優しく笑う。
先「肩からにしようか。」
簡易着が捲られてガーゼで覆われた肩が
見える。
看「見ると余計に痛くなるから、そっちに
顔向けててね。」
看護師さんにキュッと顔を抑えられて…
今さ「余計に痛くなる」って言ったよね？笑
消毒って、そんな痛いの？
心臓がうるさいくらいドキドキいってる…
医「ちょっと沁みるからなぁ〜…」
ひとり言みたいに、呟いた先生は「はい、
我慢〜」って脱脂綿をポンポンしてくる。
「…！あ、っ、いっ…」
我慢できる痛みなんだけど、痛くて思わず
声が出て、手が出て…笑
医「はは！邪魔でできないだろ〜？笑」
思わず先生の手を掴んだ俺の手を「横で
我慢しててな〜？」って笑いながら
戻す先生。
看護師さんも「すぐ終わるよ〜」って笑顔。
逃げ場がないから覚悟を決めるしかなくて…
ギュッと目を閉じて痛みに耐える…
「…っ、あっ…、…たい、いたい…」
医「そうだねぇ、こりゃ痛いね〜…」
顎の消毒はさらに痛くて。
余りの痛みに顎を降ろそうとするんだけど
看護師さんが上向きで固定してきて。
「泣いてもいいから動かないよ〜。笑」なんて
冗談言ってる。
医「しょーくーん？手。笑」
最終手段で出てくる俺の手を先生が掴む。
優しくて大きくて温かい手…
医「あと少しだから、ちょっと我慢な〜？」
「うぅ…」
痛みに唸る俺を見て先生は笑う。
だけど…
「綺麗に治す為に、しばらく我慢だな〜」
「ほれ、おしまい。」
掛けてくる言葉は一つひとつ優しくて
丁寧で…
「…りがとう、ございました…」
医「はは！素直、素直。笑」
先生は頭をポンポンしながら「消毒は
朝と夜な〜？」って笑顔で
宣告してきやがった。笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月5日 20時
