24.【翔にぃの憧れ】 ページ24
［翔にぃside］
小さい頃から体も丈夫で
病院にはあまり縁が
なかった俺。
それが、こんなカタチで長期お世話に
なるとはね…
その日、俺は徹夜明けでテストを終えて
ホッとしてたんだ…
ボーッとしたまま家の最寄り駅で降りて
意識が半分しかないような状態で
歩いてた。
『危ないっ！』
突然響いた誰かの大声と
車のクラクション。
それが俺に向けられたものだなんて
思いもしなくて…
ドンッ！
鈍い音とともに、全身に衝撃がはしった。
沢山の人が俺を取り囲んで何か言ってる。
自分のことのはずなのに、どこか他人事。
そんな状況の中、首を動かしたら道路に
横たわってるって分かって…
…？
もしかして事故った…？
そんな風に呑気に考えられたのは
この時までだった。
すぐに身体中が痛くて堪らなくなって…
「…たい…たい、です…、…すけ、て…」
唸ることしか出来なかった。
生まれて初めて救急車に乗せられ…
小学生の頃、「一度は乗ってみたい」なんて
笑って言っていたけど、乗るもんじゃない。笑
痛くて痛くてもがきたいのに「落ちちゃうから
ごめんね〜」って、救急隊のお兄さんに
微笑まれてストレッチャーに拘束されて。
病院ではドラマで出てくる様な部屋に
運び込まれて。
飛び交う医療用語に騒がしく動き回る
沢山の医者や看護師。
もう、それだけで不安で泣きたくなる…笑
それなのに「痛いけど、ちょっと我慢な〜？」
って、ただでさえ痛い部位を押したり
動かしたりされて。
「…！っ、いた、い！いたい…」
看「ごめんね〜、動かないで我慢して
下さいね〜」
つい手が出てしまうけど、そんなのもすぐに
看護師に抑えられてしまう。
医「痛み止め入れたからね〜」
メガネをかけた優しそうな医者が
そう言って優しく肩をポンポンってしてくれて。
まだ全身が痛いけど、ホッとした俺は
そのまま眠りについた。
母「しょう？…翔？」
遠くで母さんの声がして目を開ける。
いつの間にか病室に移されていて、
着替えもしてる自分。
寝てる間に着替えさせられたって事実に
羞恥心で顔が赤くなる…
思わず「パンツ何履いてたっけ？」って
確認しそうになった。笑
「…ごめん。」
目を真っ赤にさせる母さんを見たら
素直な一言が出て。
自分でもホッとした。
母さんは首を振って「無事でよかった」って。
和を抱っこして、潤を背負って駆け付けて
くれた母さん。
きっと焦ったんだろうな…って思うと
申し訳ない気持ちでいっぱいになった…
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月5日 20時
