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［雅にぃside］
翔「あ、いた…」
お墓に着いて走って行ったら
潤はしゃがみ込んで小さくなっていた。
翔雅「潤！」
俺らは揃って叫んで駆け寄った…
潤「にぃ…」
俺らを見上げた潤の目から涙がポロポロと
流れ出す。
一人で沢山、泣いたんだろうに
涙は止まることを知らないみたいに…
翔「…じゅん。一人で泣くなよ…」
翔にぃは強いくらいに潤のことを
ギュッと自分の方に寄せて抱きしめる。
潤は大声で泣き始めた…
潤がこんなに声をあげて泣くのは
初めてかもしれない。
それほど、苦しかったんだろうね。
潤の小さな左手は翔にぃにギュッと
しがみ付いていて…
右手には例の色紙を持っていた。
『和也くん、学校でまってるよ！』
『入院がんばって！』
『早くいっしょに、べんきょうしたいね！』
『休みじかん、あそぼうね！』
『わたしが、べんきょう教えるね！』
色紙には、読みきれないくらいの沢山の
メッセージが書かれていて、綺麗に色ぬりが
してあった…
俺まで涙が止まらなくなって、
情けないけど、苦しくて堪らなくて…
子ども達の真っ直ぐな気持ちが苦しい…
「しょう、にぃ…」
潤の前で恥ずかしいなんて思いはなかった。
俺は翔にぃの背中に抱きついて泣いた…
翔にぃは一瞬だけ、ビックリして声を
上げたけど、すぐに背中に手を回して
ポンポンしてくれる。
刻まれるリズムが心地よくて安心する…
潤もきっと同じように安心しているだろう。
だんだん泣き声が聞こえなくなってきた。
翔「潤、ちょっと話せる？」
潤「…う、ん」
まだ、しゃっくり上げてはいるけど
きちんとした返事が返ってきたことに
安心する…
俺も涙を拭いて、顔を上げる。
翔「どうして、ここに来たの？」
潤「…のね、分かんない。和のこと
返して、ほしい…元気な、和のこと、返して…
ほしくて…」
翔「お願いしたの？」
潤「…うん。…これ、もらった、から。
見せた、らなんとか…してくれる…よね…」
翔「そうだね。潤の気持ちは伝わったと
思うよ。」
潤「…えりたい。和のとこ、行きたい…」
翔「うん。会いに行こうね…」
頷いてポロポロ泣き出した潤を
今度は俺がしっかり抱きしめた。
潤を車に乗せて、翔にぃが報告の電話を
智にぃに入れてから車が走り出す…
俺の肩に寄りかかった潤は
ウトウトして寝てしまいそうだ。
翔「疲れたんだね…」
翔にぃはバックミラーから潤を見て
優しく笑っている…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
