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［智にぃside］
和「ぎゃー」
今日は最後の
検査だっていうのに
和は朝から何度もパニックを起こす。
翔「かず、見て？荷物まとめたでしょ？
終わったら帰れるんだよ？」
和に「終わり」ってことを示したくて、
俺らは昨日のうちに和と一緒に
荷造りをしたんだ。
翔がそのことを思い出させようとしても
和はギャンギャン泣いている…。
今日はあの検査だから俺らは緊張してた。
でも、和には伝えていないから
もしかしたら俺らの緊張が
伝わってしまったのかもしれない。
心の中で「ごめんね」って何度も呟く。
翔「…！あ、落ちる！」
和「ぎゃー」
翔の手から逃れようと、大きく後ずさった和は
ベッドから落ちてしまった。
慌てて駆け寄ったら、しがみ付いてくる。
雅「何とかならないのかな…
薬で眠らせてやれれば良いのにね。」
辛そうに呟いた雅紀の肩を
翔が優しくさすってやる。
俺らは何度も薬で眠らせてやって欲しいって
頼み込んだ。
だけどカウンセラーからも医師からも
「それはできない」「その方法だと後々、
和をもっと苦しめることになる」って
説明されて…
俺らは納得するしかなかった。
もう後悔はしたくないからね…
先「そろそろ、行こうか」
和「ぎゃー」
病室に入ってきた先生に反応して
パニックを起こした和。
もう声が枯れちゃうんじゃないかって
心配になるくらい…
先「可哀想だけど、体力がもたないね…
途中で意識手放しそうだね。」
先生は和を見つめて話した後、俺らを見て
「こんなこと言いたくないけど、意識を
とばす事が、今の和くんが一番ラクになれる
方法かな…」って呟いた。
パニックの和を引きずる様にして
検査室に連れていく。
先「検査着にはなれないから、全部脱がせて
くれる？」
俺らにできる事は
なるべくやらせてもらってる。
少しでも傍にいたいから…
泣き喚く和を俺が後ろから抱きしめて抑えて、
翔がパジャマを脱がせる。
もう、作業のすべてが強制…
和の意思は完全無視だ…
先「拘束はさせてもらうね。
上からお兄さん達が触れてあげてね」
拘束された小さな体に触れて
温もりを伝え続ける。
和は散々、泣き叫んだ後、針が刺さった瞬間に
意識を手放した…
検査後、力尽きてぐったりした体を
俺が抱きかかえる。
先「和くん、おつかれさま。
よく頑張ったね…」
先生は頭を撫でてくれる。
この大きくて優しい手を
和にも感じて欲しい…
そう願わずにはいられなかった…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
