5人で生きてゆく…【幼き記憶】 (ページ33)

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33.【14】ページ33

［翔にぃside］

和の頑固さには
病気の前から、
ずっと手をやいていた。笑

だから、病気だからどうこうではなく
きちんと分かって欲しかった。

和「…だめ！っちゃ、やだ！しょ、にぃ…」

背を向けた俺に向かって必死に叫ぶ。

「話できないなら、居ても意味ないでしょ？」

和「…ちがう、いっちゃ、やだ…
ここ、いて、しょ、にぃ…いて…」

「駄目。泣いても許しません。」

部屋を出ようとドアに向かって歩いたら
和がベッドから降りて、
足にしがみ付いてきた…

和「…だ！いか、ない、で。」

「離して？」

和「だめ…しょ、にぃ、だめ。…かない…」

足にしがみ付いたまま
ひっくり返って訴えてくる和。

さすがの俺もこれには降参…笑

置いていくことなんて、できない…

「潤、座ってまってて？かず…おいで。」

潤をソファーに座らせて、和を抱き上げる。

コアラみたいに引っ付いてきた…

温もりを感じたくて必死なのが分かる。

俺は何も言わずに、ただベッドに座って
背中をトントン叩き続けた。

途中、智にぃが戻ってきてくれて、
潤を連れて部屋を出て行ってくれた。

しばらくトントンしても、しゃっくり上げた
ままだけど和が口を開いた。

和「…れが、わるい。いけない、こと…
わかっ、てる…」

和が分かってるのは分かってる。

和「しょ、にぃ…わる、くない」

もちろん、それも分かってる。笑

和「…ごめ、ん、なさ、い」

和は涙を流したまま俺を見上げてくる。

和「お、れ、ごめん、なさ、い…でき、る」

「そうだな…笑」

和は相変わらずコアラみたいだったけど
俺の話すことにコクコク頷いてくれて
問い掛けた時には、途切れ途切れだけど
自分の言葉で答えてくれた。

和「しょ、にぃ…いて…？」

「うん、いるよ。」

和「せんせ、きたら…たす、けて…れる？」

「うん。恐くないようにしてあげる」

和は俺に引っ付いたまま「いて、いて」って
繰り返しながらウトウトし出した。

和が頑張ってるのは分かってる。

辛い思いしてるのも分かってる。

だけど、和はこれからもこの環境の中で
生きていかなきゃいけないから…

すぐに治る病気なら、もちろん俺だって
思いっきり甘やかして
我儘聞いてやりたいよ…

でも長いスパンで考えなきゃいけないんだから
最初が肝心だ。

厳しいって言われてもいい。

嫌いって言われたら嫌だけどね。笑

でも、俺は和への愛情には自信あるから。

嫌いになりたくても、なれないくらい
大事にしてやるからな…