35.【28】 ページ35
［翔にぃside］
昼食を終え、
処置室のベッドに
和を座らせる。
エコーから行うことを告げると
智にぃが優しく声を掛けて
和をベッドに寝かせる。
検査中、和は、くすぐったいだの
冷たいだの文句ばかり
言っていたけど
智にぃが上手く宥めてくれ…
スムーズに終わった。
「じゃあ、次はカテーテル入れるね」
和が嫌がるのは分かっていたけど
朝からカテーテルを入れる所に
表面麻酔のシールを貼っていたから
やることは分かっていたはず…
ほんとは局部麻酔を使うけど
和はカテーテルを入れる痛みよりも、
局部麻酔の時の注射の恐怖心の方が
大きいから、高校生になった前回から、
表面麻酔のみで検査している。
かなりの激痛を伴うけど
麻酔の注射をして検査していた時のように
パニックになることはない。
和が和でいられるから…
それでも痛いと分かっていて
検査を受けるのは嫌だろう。
「やりたくない…やだ。」と喚いて
ベッドから起き上がろうとする和を
智にぃは必死でベッドに戻している。
「かず〜、危ないから固定するね。
手は智にぃに握ってもらおうね。」
たくさんの人に押さえつけられるのも、
拘束具を使うのも、どちらも可哀相だけど…
拘束具で固定した方が落ち着いている。
これもカウンセラーと決めた
検査方法だ。
喚き続ける和を智にぃに任せ、
足首、太腿を固定した。
智「かーず、すぐ終わりにしてもらおうね。
はい、バンザーイ。手は握ってるからね。
危ないからね、動かさないよ〜」
智にぃにバンザイした状態で
手を握って押さえてもらい、
俺は胸の辺りも固定した。
「よし、和？
消毒して始めていくからね〜」
固定が終わり、準備が整うと、
あんなに喚いていたのが嘘のように
静かになる和。
逃げられない、避けられないって
分かってるんだ…
俺は智にぃと目を合わせ頷き合う。
智にぃが、和の手をギュッと固定したのを
確認して検査を始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1733人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2012年10月20日 15時
