27.【20】 ページ27
［智にぃside］
翔「点滴するから。
智にぃ、お願いします…」
できれば和には、恐怖心を与えたくないけれど。
でも、それが不可能な場合
とにかく早く処置してやるのが
俺らにできることなんだ…
拗ねたまま寝てしまった和にひと声掛けると
すぐに目を開ける。
たくさん寝れたからか、顔色もよく
幸い目眩もしていないようだ。
翔「かず、おはよう。
薬飲んで、少し眠ろうか…」
その言葉に和はすべてを悟り、
縋るように翔を見つめている。
和「…ょにぃ…やだよ…ねぇ、翔にぃ…」
必死に翔に呼び掛ける和。
今回も睡眠薬は使えそうにない…
翔「脱水症状が出てるから…
点滴しよう。な？」
翔も薬の服用は諦めた様で
テキパキと準備を始める…
嫌だ、嫌だと必死に翔に訴える和。
その視線がこんどはこっちに向く。
和「ねぇ、智にぃ…俺やらないよ？
ねぇ、やだ…やりたくない…
翔にぃに言って…？ねぇ、智にぃ…
しょ、にぃに、やらないでって言ってよ…」
和の必死の哀願も
ここでは受け入れられない…
パニックになりかけている和に
翔がひと声呟く。
翔「かず…すぐ楽にしてやるから。」
その言葉を合図に俺は、
和の体を布団の上から押さえつける。
和「こわいー、やだー、やだー、
やめてー、やー…」
体を抑え込み
和の手を翔に差し出す。
和「こわいー、やだー、やめてよー、
こわいよー、たすけてー」
叫び続ける和…処置が終わるか、
意識をとばすまで止まることはない。
全身の力を振り絞り抵抗する…
和「ぎゃー…じゅんー、たすけて…」
今回は精神的にも参っていたこともあり、
和は処置の途中で意識をとばした…
俺らは処置を済ませ、
和の手を握ってつぶやいた…
「なにもしてやれなくて、ごめん…」
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作者名：空
| 作成日時：2012年10月20日 15時
