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［和side］
ご飯のことは
考えないようにしてるつもりなのに…
頭の中は『お腹空いた』『喉渇いた』って…
この2つで埋め尽くされてしまった。
お腹を撫でてくれる智にぃの手が温かくて
空腹で痛みすら感じるお腹が少しラクになった
気がする。
部屋を出ていった翔にぃは、温めたスポーツ
ドリンクを持ってきてくれて、スプーンで
口元に運んでくれる。
ほんとは、うがいだけにしておかなきゃ
いけないくらいなのに、飲ませてもらっているん
だから、これ以上…我が儘言ったら駄目なのに。
「…っと、もっと…ほしい…」
2回で止まってしまった翔にぃの手を引っ張って
我が儘を言ってしまう自分。
気持ちだけでは歯止めがきかない…
翔「これでおしまいな？また目が覚めた時の為に
とっておこう。な？」
「…ん」
きちんと返事が出来なくても、今回の翔にぃは
許してくれる。
運ばれたスプーンでまた一口、スポーツドリンクを
飲ませてもらった。
翔「目つぶってごらん？眠くなってくるよ…」
「…っ、もっかい…」
翔「後でな…、ほら、眠れるから…」
手でそっと目を覆ってくれた翔にぃ。
その温かさに神経を集中させれば眠れるはず。
智にぃの手と翔にぃの手の温もりを同時に
感じられるなんて幸せだよね…
［翔にぃside］
気休め程度のスポーツドリンクだけど
飲んだ後は少しだけ落ち着いて
スーッと眠りに堕ちてくれた。
だけど空腹に邪魔されて、朝までぐっすり
眠ることなんて出来ないから…
和「…っ、…ょ、にぃ…」
1時間ちょっとで弱々しい声で再び泣き出した和を
腕の中におさめて宥める。
「ほら、さっき我慢した分…飲んでいいから」
少し落ち着かせてからスプーンで
スポーツドリンクをすくって飲ませる。
和「…なか、…いて、寝れな、い…」
「ん、もう一回だけな？」
こうやって飲ませて寝かせてを繰り返して
朝を迎える。
和にとっては、朝までがすごく長い時間に
感じてるだろう…
でも、何度目かの時…グズグズして俺のお腹に
頭をのせてきた和の温もりを感じたて、
『守ってやらなきゃ』って思ったんだ。
辛いのは後少しの期間だけ。
そしたらまた美味いもん、好きなもんを
いっぱい食わしてやれるから。
頭をそっと撫でて、涙を優しく拭って…
ヒックヒックしてる背中をゆっくりさすりながら
俺自身も眠りにつく。
和が、せめて夢の中でお腹いっぱいご飯を
食べれているように…
そんなことを祈りながら。
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作者名：空
| 作成日時：2014年12月2日 18時
