1724.【3】 ページ24
［翔にぃside］
和の記憶が戻らないまま
迫ってきた例の検査日…
自分が病気だという記憶もない和に
検査を受けさせるのは何だか酷な気がするけど
避けて通れる検査じゃないから。
智「俺らもフォローするから」
「ん、お願いします」
まずはきちんと説明してみることにした。
検査がどうして必要なのか、どんな検査なのか。
病室のベッドに座るように促したら、いつもと
違う空気を敏感に感じとって「なに…？」って
不安そうな顔をする和。
敏感なところはやっぱりそのまま。
智「大丈夫だよ、ちょっと話しておきたいことが
あるだけ。ね？」
智にぃがベッドに上がってくれて背中に
手を回して安心させてくれてるから、俺は
話を進めることに。
なるべくゆっくり、和が頷くのを待ってから
次を話すようにして…
和は不安そうに瞳を揺らしながらも「分かった…」
って頷いてくれた。
和「…んないる？」
「ん？みんなって？」
和「雅にぃ、と…、じゅん…も」
この場にいないから不安になっちゃったのかな。
「みんなにも来てもらおうね」って言ったら
「やったっ！」って、すっげー可愛い顔で笑って…
和「翔先生なら安心だしね…」
「ん…、ありがとな」
今の和だからこその言葉に何かがズーンと重く
のしかかる…
検査は2日後に決まったんだけど、和は情緒が
不安定になることもなく、体調を崩すこともなく。
「痛いのは嫌だけど、必要って言われたから
頑張るんだよ〜」って言っていたと、先輩から
聞いた。
そしていよいよ検査の日…
さすがに緊張してるのか、不安そうな面持ち
ではあるものの「すごい痛い？」
「泣いちゃうかな？笑」なんて質問を交えながら
直前までゲームを楽しんでいて。
「ちょっと寒いけど、上だけ裸んぼになってな。
服はここのカゴに入れてね」
和「はぁーい」
俺の指示通りに上半身裸になって「なんか
恥ずかしい。笑」って。
自分で検査台に寝転ぶ和が、和には見えない。
『和もこんな風に検査を受けてたんだろうか…』
『あの日、俺らの心に余裕さえあれば…』
余計なことばっかり考えてしまう。
看「布、被せるからね〜」
俺が放心状態の間に看護師さんがフォローして
動いて助けてくれる。
和「…ょ、せんせい？大丈夫…？」
「…ん、ごめん。ちょっと…昔のこと
思い出してた…」
不安なのは和なのに、情けないね…俺。
和の不安と痛みが、少しでも減るように頑張るね。
今度は俺が頑張る番だから…
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作者名：空
| 作成日時：2014年12月2日 18時
