そっくり ページ10
「ん？ ああ」
"織田さん"と呼ばれた男子生徒は、顔を上げ、百ちゃんに向ける。
「私、八百万百と申しますわ。織田作之助さん…でよろしいですよね？」
「ああ。織田作之助だ」
声も、名前も、喋り方も…容姿まで、瓜二つの、否、作之助よりは、少し若い顔立ちをした男子生徒は、轟くんを見て少し笑った。
その表情を見て、私はさっと俯く。
…これ以上は、あまり見たくない。汚い感情が出そうだ…。
「なんだ、焦凍も一緒か」
「誘われてな。同じ推薦者仲間として、だそうだ」
「迷惑でしたら、申し訳ありませんわ。…あら？Aちゃん、どうされたのですか？」
俯いている私に、百ちゃんが声をかける。
それにも答えられないほどに、困惑していた。
会いてくて逢いたくて仕方がなかった人に会えたはずなのに…喜びよりも怒り。怒りよりも悲しみが
それは、相手が作之助だからだろうか。
それは、相手が元の世界の知り合いだからだろうか。
それは、相手が_＿＿＿＿愛しき人だからだろうか。
そう思考を回らせている間に、三人の話は少しずつ進む。
「真逆、焦凍と同じクラスになるとはな」
「俺も正直驚いている。第一、作之助以外にも特別推薦者がいるとは思っていなかった」
「俺以外にも…？」
「俯いていらっしゃいますが、こちらの三芳Aちゃんも特別推薦枠で入学した方ですわ」
「……顔を、見せては呉れないか？」
あの声で、そう言われ、私はゆっくりを顔を上げる。
織田作之助という男子生徒の目が見開かれていく。
たった数秒のことなのに、私達にはそれが、何十秒にも感じられた。
「きく…ち…？」
「っ…」
僅かに聞こえた昔の苗字に、私は、息を呑み、顔を顰めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 313人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
素間羅門 - 前回さらっとでできた二人絶対やべえ奴だ....! (3月29日 10時) (
レス) id: 27d6234774 (このIDを非表示/違反報告)
MAKOTO@低浮上(プロフ) - dtabosuさん» コメントありがとうございます！更新は遅いですが、ぜひ楽しみに待っていてください。頑張らせていただきます(*´∀｀*) (2017年12月30日 13時) (レス) id: b20568eb49 (このIDを非表示/違反報告)
dtabosu(プロフ) - 織田作とどう関わっていくのか、落ちどうなるかすごく気になります！！更新楽しみにしてます！頑張ってください(´▽｀*) (2017年12月28日 20時) (レス) id: c216431e1a (このIDを非表示/違反報告)
MAKOTO@低浮上(プロフ) - フユキさん» コメントありがとうございます！まだ内緒です(*´ b｀) 案外さらっと出てくるかもしれないので、楽しみにしててください！ (2017年12月12日 22時) (レス) id: b20568eb49 (このIDを非表示/違反報告)
フユキ(プロフ) - 前回サラッと出てきた室生犀星と萩原朔太郎っぽい人が気になって仕方ない (2017年12月12日 21時) (レス) id: 3b75a384a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
