第１話「天乃呂戊太、鳥井希：オリジン」 ページ2
桃 side
前前世で相棒だった彼奴と会ったのは、
小学校に入ったときだ。
今は入学式の真っ最中なのだが、
今世でも人見知りは変わらぬようで。
親の影に隠れ、上手に気配まで消している。
なのに瞳は爛々と光り、俺を見ている。
いや怖。
…まぁ後で声かけてみるか。
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zm「な、なぁ、お前、ロボロやろ。」
なんと。
ゾムから声を掛けてきた。
雑面は着けてないから分からんと思ったんやけど。
『よぉ分かったな。』
ゾムは心底安心した顔を見せた。
zm「俺は、と、鳥井、希。」
名乗られたので、思わず返す。
辺りはザワザワとしてはいるが、大半が親の声だろう。
『俺は天乃呂戊太。』
zm「良かったぁ…人違いやったらどうしようか思ぉとってん。」
『良かったなぁ、
すると、ゾムは相変わらず女子顔負けの綺麗な顔で、
屈託の無い笑顔を見せた。
zm「これから
『やから呂戊太やて…』
遠くでゾムの両親が喜びの涙を流していたことについては、
触れないでおこう。
ゾムの親も、きっと大変やったんや。
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zm「あ、そうや。」
『急にどうした。』
伏せた顔を弾かれたように起こしたゾムは、
俺へと顔を向けた。
なにか思い出したのだろう。
zm「ここって、ヒロアカの世界で間違いないな？」
あぁ、そういえばそうだ。
俺も最初こそは困惑したものの、
転生自体が摩訶不思議現象なものだから、
そういうものだと割り切ってしまっていて、今の今まで忘れていた。
zm「おーい、ロボロー？」
いつまでも返事をしないどころか、
思考の海に潜ってしまっていたようで、
ハッと顔を上げると心配顔のゾムがいた。
『あぁ、そう、そうや。ここはヒロアカの世界で合うとるで。』
返事をすると、嬉しそうに笑い、
周りに浮いているアレイを撫で始めた。
ん？
周りに浮いているアレイ？？
『ゾムお前そのアレイ…』
思わず尋ねてしまう。
zm「あ、このアレイな！俺が"個性"で出したんや！」
ニコニコ笑って説明するゾムは、
やっぱり感情表現が分かりやすいなと思う。
悲しいときは目に見えるくらいシュンとしとるし。
『じゃあ俺も"個性"説明せんとな。』
続き→←我々国専門学問研究学校 蔵書より抜粋――[戦争国家我々国]
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作成日時：2024年2月21日 23時
