心も、ぬくもりも ページ41
そして迎えた放課後、私たちは廊下を歩いていた。周りには誰もおらず、きっと最後尾だ。二人きりなのを確認して、私は爆豪くんに話しかけた。
「……あの、一応確かめておきたいんですけど」
「んだよ」
未だに今日の朝での出来事が信じられない。
もしかして夢なんじゃないかと思って何度も頬をつねったが、しっかり痛かった。
でもやっぱり不安で、空けとけと言われた放課後にもう一度聞くことにした。
「私たちってその……両想いなんですよね」
「……そうに決まってんだろ。なに聞いとんだてめぇ」
ちょっと照れたように目を逸らして答える爆豪くん。
そうか。……両想いか。
改めてその事実を受けとめると、どうしようもなく嬉しくなる。
「それじゃ、……その……付き合うんですか？」
好き同士でいることと、付き合うということはまるで意味が違う。
今まで、爆豪くんの足枷になりたくなくてずっと黙ってきたのだ。まだ申し訳なさがあるし、今ならきっと引き返せる。
「私、きっと爆豪くんの邪魔に、」
「くだんねぇ遠慮すんな」
唐突に、爆豪くんの声が鋭くなった。
肩を掴まれ体をぐいっと爆豪くんの方に向かされて、その真剣な眼差しとぶつかる。
「『守りてぇやつ』なんだよ。邪魔だろうがなんだろうが、俺はAが……」
そこまで言って、押し黙ってしまった。
『守りてぇやつ』……。自分がいかに大事に思われているのか知って、目頭が熱くなる。
静かに言葉を待つと、少しだけ間を置いて爆豪くんは再度話し始めた。
「……とにかく、俺はこのままでいるつもりはねぇ」
私の頭に手を置いて、「だから、」と続けて。
「てめぇも余計なこと考えんじゃねぇ。……離れんな」
乱暴な言い方で、でも優しさが隠れた表情で再度告白を受けた。
……もう知りませんから。思う存分甘えますからね。
「……じゃあ、1つお願いしていいですか」
出した声が震えていた。嬉しくて、泣きそうで。爆豪くんが今どんな気持ちなのか分からないが、私は自分の欲求を優先させた。ワガママ過ぎだって咎められるだろうか。
「……ぎゅって、抱きしめてください」
言った。言ってしまった。
恥ずかしくなって俯くと、爆豪くんは呆れたように「はぁ……」とため息をついた。
うう……やっぱりめんどくさいやつだって思われただろうか。
やっぱり大丈夫です、と発言を取り下げようと顔を上げると。
私は、爆豪くんの胸の中に収まっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
