回り回って ページ39
ボソッと。
ほとんど聞き取れないくらいの声量で爆豪くんが呟く。
え、今なんて。
急変した状況が把握できなくて、私は顔を上げて爆豪くんの方を向いた。目を見開いて爆豪くんを凝視すると、彼は不機嫌な顔で目線を逸らした。
「好きなんだよ、てめぇが｡……ムカつくけどよ」
少しだけ顔を赤らめて悔しそうに吐露する爆豪くん。言葉を噛み砕いて、やっと理解した。
つまり、爆豪くんは……。
いつの間にか保健室に着いたらしい。感極まって何も言えなくなっている私を、彼は乱暴にベッドに放り投げた。
「ぶぁっ、ちょ、何しやがんですか！」
「じゃあな、クソ女！ その辺にぶっ倒れて死ね！」
「んな、ま、待ってください！」
吐き捨てるように言い、彼が保健室を後にしようとしたのを慌てて引き止めた。自分だけ散々言っておいて、そのままさいならなんて身勝手が過ぎるだろう。
「私だって言いたいことがあるんですよ！私が黙って話聞いていた分、爆豪くんもちゃんと聞いてください」
「……チッ」
爆豪くんは舌打ちを1つして、傍の椅子にどかっと腰掛けた。特訓後で体を起こせず見上げる形になりながら、私は爆豪くんに今までの想いをぶちまける。
「今のもそうですけど、爆豪くんは乱暴です。あと気が短くて、傲慢で、粗野で粗暴で、周りのこと何も見てないです」
爆豪くんが私の欠点を並べて罵倒した時のように、彼の短所をつらつら指摘した。みるみる眉間に皺が寄っていく爆豪くん。聞いていて気分が悪くなるのは分かるが、お互い様だ。
「人の気持ちなんて一切考えないですし｡……少しくらい察してください」
そして、一呼吸おいて、覚悟を決めて。
「……私だって、前から爆豪くんが好きです｡爆豪くんのためを思って、今までずっと黙ってたのに。本当、ひどいヤツです」
そう、今までの気持ちを打ち明けた。
「……は？」
爆豪くんがこちらを向くのと同時に、今度は私が目を逸らした。顔が物凄く熱くなっているのを感じる。多分、今の私はめちゃくちゃ顔が赤い。
「……オイ、A」
「な、なんですか」
少し間を置いて、爆豪くんが声をかけてきた｡
真っ赤な自分の表情を見られたくなくて、顔を背けたまま応える。
すると、爆豪くんは呆れたような、でも温かさを感じる声で、
「黙ってんなよ……クソが」
と小さく呟いて、いつものように私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。それが普段よりずっと心地よくて、そのまま全て委ねたくなる。
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匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
