爆豪の再出発 ページ33
「ちょっとずつ、ちょっとずつでいいんです。ゆっくり丁寧に気持ちを整理して、向き合っていきましょう」
急に気持ちを切り替える必要なんてない。ゆっくりブレーキをかけて、心が決まった時に緑谷くんやオールマイトと話をすればいい｡
そして｡
「あの時の約束、覚えてますよね」
互い、自分のなりたいヒーローになるという約束｡
私が、爆豪くんと交わした心の拠り所｡
私の、私達の望みだ｡
「1番のヒーローになって下さい、爆豪くん」
「＿＿＿＿＿！！」
爆豪くんの目が見開かれ、歯を食い縛り震えた｡
彼に落ちていた影がどんどん消えていく｡
「＿＿＿ンなもん、分かってんだよ」
そしてバッと顔を上げ、こう宣言した｡
「俺が、トップヒーローになる。認められていようがいまいが、俺が頂点に立ってやる！」
と｡その表情には一片の迷いもない。
.....良かった、私の大好きな爆豪くんだ｡
いつの間にか空を覆っていた雲は流れ、光が差し込んでいた。
「やっとですか、爆豪くん」
自分の大好きな彼に戻り、安心感でふふっと苦笑いした。
「.....A」
「はい」
いつもの声で、爆豪くんは私を呼んだ。
「.....ありがとよ」
小さく発せられた5文字の言葉｡たったそれだけで伝えられた感謝は、私を喜ばせるには大きすぎて｡
「.....ふふっ、ふ...う...っ」
初めて爆豪くんから明確に感謝された。誰かの役に立てた。そう思うと、不思議と笑みと涙が零れてくる。私、爆豪くんが絡むと泣いてばっかりだ｡涙を手で拭い、自分の涙腺の弱さに失笑していたその時だった。
ぽん、と頭に何かが置かれた。それが爆豪くんの手のひらだと認識するのに、そう時間はかからなかった｡
彼のごつごつとした大きな手が、そのまま私の頭をわしゃわしゃと撫でていく。いや、撫でるというよりは髪を掻き回すという表現の方が合っているかもしれない。
……もしかして彼なりに、慰めようとしてくれているのだろうか｡
「ふぅっ.....へへ.....ひぐっ...」
大好きな人からの頭わしゃわしゃなんて逆効果だ｡嬉しくて、苦しくて、さらに涙が溢れてしまう。
.....でも、今は、もう少しだけ｡
挫折からの立ち直りをサポートしたんだ、これくらいの謝礼はもらっておかないと｡
なんて自分を無理矢理納得させて、私はしばらくの間爆豪くんに頭を乱暴に撫でてもらった。
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匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
