敬語を直せ ページ35
それは、ふとしたなんでもない教室での休み時間中で起こった。
「オイA」
突然大好きな声で呼び止められた私は、ビクッとしながらおずおずと振り返った。普段はほぼ私から話しかけており、彼の方から話を振ってくることは殆どない。
しかもココ最近、何故か微妙に私を避けるのだ｡それ故、唐突に話しかけてきた爆豪くんが何を言うか怖くて仕方ない。
「な、なんですか.....？」
ここで「嫌いになった」なんて言われたらどうしよう｡いや、そもそも私は好かれているのか.....？
様々な不安が脳裏をよぎり、ビクビクしながら彼の言葉を待った。しかし、爆豪くんから発せられたのは私が危惧していたものとは無関係のものだった｡
「てめぇ、普通に話せや」
「.....へ？」
「敬語やめろっつってんだよクソチビ」
眉間に皺を寄せて言葉を繰り返す爆豪くん｡
フルスピードで発言を処理し、理解した｡
『敬語をやめろ』.....？ そう言われても｡
「いや.....私、小さい時からずっと家族以外にはこの喋り方で、もう癖付いちゃったと言いますか.....」
「なんでガキん時からンなに堅っ苦しいんだよ」
「えーと.....それは.....」
理由を聞かれたが口ごもってしまった。
『母を死なせてしまった罪悪感で、周りも怖かったから』なんて言いづらいし言いたくもない。
言葉を詰まらせている私に痺れを切らしたのか、爆豪くんは舌打ちを一つして、こう続けた｡
「とにかく、その話し方うぜぇからさっさとやめろや｡俺が怖ぇってわけじゃねえんだろ」
彼の言う通り、怖いという訳では無い。怖かったら、わざわざ話しかけに行ったり特訓の付き添いをお願いしたりしないだろう｡
しかし、ずっと固定された口調をこの瞬間から変えろと言われてもそう簡単には直せない。
「.....善処します」
「今直せ！！ 今後、１回敬語使う度に頬抓っからな」
「え、痛いの嫌ですよ私！ .....いっひゃ！！」
敬語を使ったら頬を抓る｡なんて荒療治だ｡早速食らったし。
それに、彼への気持ちを自覚してからやっと話すのに慣れてきたというのに、急にタメ口なんてハードルが高すぎやしないだろうか。
「いいか、俺はやるっつったらやるからな」
そんな私の胸中そっちのけで、悪い顔で笑う爆豪くん｡やっぱ爆豪くんはヴィランみたいって言われても仕方ないと思う。
「.....分かったよ」
そうして、私と爆豪くんの敬語直し大作戦が開始した。
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匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
