プロローグ ページ1
いつもの私の家族。
ヒーローである強くてかっこいい母親と、優しく包容力のあるサラリーマンの父親。
ちょっと変わった家庭だったが、あの時の私は十分に幸せだった。
そしてその幸せは、平穏は、ずっと続くと信じて疑わなかった。
灯りが壊された薄暗い室内。
普段私の安楽の場だったここは、もうその影もなかった。陶器類は割れて散らばり、家具は破壊されなぎ倒されている。そしてそれらの元凶であり、目の前でこちらを見据える一人の男。
逃げるべきだと、あの時の私には分かっていた。自分に向けられた悍ましい殺意が牙を剥く前に、そこから逃れなければならないと。
にも関わらず、体はその場を離れようとしない。
自分の手足にその意思は伝わらず、ただカタカタと震えるのみだった。
「Aに……手を…出すな…」
疲弊しきった母の声がして、それに反応した男がそちらへ振り向く。
ヒーロー活動を終えた後である母はもう体力がなく、勝ち目なんて無いはずなのに。それでも尚、今瓦礫に足と手を挟まれ動けないでいるにも関わらず自分に注意を引かせ、守ろうとしている。
「ふーん。そんなにこの子が大事か。でもな、こっちだって大事な大事な‘‘お仕事’’を潰されたんだ」
愉快そうに、でも恨みつらみもこもったような声色で話すその男の表情に背筋が凍った。そして歪んだ表情のまま、銃口の形をした手先をこちらに向け、
「だからその代償、払ってもらうぜぇ！！！」
銃声音が、一つして｡
その刹那。
大きな轟音と共に黒い影が私の間に立ちはだかり、銃弾はそれにより阻まれる。中心を撃たれた影は、赤い液体を空中に撒き散らしてバタッと倒れた。何が起きたのか理解できなくて、咄嗟にその庇ってくれた何かへ視線を移すと。
そこにいたのは、心臓から血を流し白い絨毯を真っ赤に染め上げる、母の姿だった。
---
「やぁね、また事件よ」
「カノンがいなくなってから、最近ここの治安悪くなってきてるね」
「本当、惜しいわ」
「そもそも、なんでカノン強かったのにやられたの？」
「……噂だけど、カノンは代わりに死んだのよ」
「誰の代わり？」
「自分の愛娘。……こんな世の中よ、あの子にはお母さんの分まで強いヒーローになって貰わないとね」
「そうなんだ、Aちゃん大変だね」
「代わりとして、頑張って欲しいわ」
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匿名希望より - 作者さんリゼロ好きですか？どこか既視感あるなと思いまして (2021年8月12日 2時) (
レス) id: 84a09a672a (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます！ こんなに長々と感想を頂けてとても嬉しいです。満足していただけて幸いです！ (2019年5月8日 13時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - とても素敵な作品でした。終始涙が止まらないくらいに感動しました。爆豪勝己というキャラの良さが詰まっていて、満足出来ました。このような素敵な作品を作って下さりありがとうございました。 (2019年5月8日 2時) (レス) id: 0a19bd2b46 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます！確かに話を考えるのは大変ですが、作者の貧相な脳みそで精一杯物語を紡げるよう頑張ります！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: c4af4231ab (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - いつも読ませてもらってます！展開が難しいかもしれませんが、更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 0b1ff1fc69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真実 | 作成日時：2019年4月17日 18時
