惚れた強み

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『何なの？その理由を知って何になるの？』
　
「2年前。勝手に消えて、勝手に現れて、何の説明も無しか？ゴミクズだな」
　
　
　
　
　
　
マジで説明しない気か、あのクソ女。
　
　
　
　

　
2年前のあの日、
　
担任から朝のHRで急に聞かされた「冷島さんはご両親の都合で転校しました」の言葉。
　
あの時、多分それまでの人生で一番の間抜け面をした自信がある。
　
　
　
　
　
　
その日以降、一切、何の連絡も寄越さねぇ。
　
　
男から送るのは女々しいヤツがやることだ。俺はンなことぜってーやんねー。

　
　
　
　
けど、
　
　
　
　

　
何年たっても、何かにつけてアイツを思い出す自分がいて
心底気色悪かったしそんな自分をぶちのめしたくて、
それまで以上に力で全部ねじ伏せてきた。
　
　
　
なのに、急に目の前にへらへら現れて、悪態ついて、
消えた理由も戻った理由も言わねぇ。
　
　
　
　
　
　
憤りを通り越してもはや無我の境地だわこちとら。
　
　
　
　
　
　
釈然としないまま部屋にこもってたっつーのにアホ髪に引きずり出されて
出たくもねえ共有スペースに来ちまった。
　
　
　

そこには、あの時と変わんねーアホみたいな顔で笑うあいつ。
　
　
　
　
　
　
　
「…(人の気も知ンねーで…クソ腹立つ…)」
　
「…よく知らねーけどよ、お前が他人の事で取り乱すのって珍しいな」
　
「あ？いつ俺が取り乱したか言ってみろ殺すぞ」
　
「まず冷島が来たとき、んで今日の演習で倒れた時。口には出さなかったけど、顔こわばってたぞ？」
　
「糞したかっただけだアホ」
　
「(糞…)何でもいいけどよ。けどさ、いつまでもそんな態度だと、何も解決しないんじゃね？」
　
　
　
　
　
　
　
たまに図星ついてくるこのクソ髪。
　
アホな三下共と同じではあるが、何となく人の空気とか読むのが得意なのか痛いとこを突く。
　
　
　
　
　
　
「……きめぇ。死ね」
　
「しんらつー。ま、とりあえず食おうぜ！腹が減ってはなんとやら！」
　
　
　
　
　

なるべく距離を取りながら取り分けられた食べ物を口に運んだが
　
ほとんど味はしなかった。