憧れのキミ ページ24
すぅ、と大きく息を吸う。
なり響く実況、歓声、拍手。
その中には、私の大嫌いな感嘆の声も混ざっている。
けど、私は聞こえないふりをして、真っ直ぐに前を向いた。
前には爆豪くんが立っている。立ちはだかっている。
実力その他もろもろが私よりも格上な彼の姿は、壁のようにさえ見えた。
怖い。
少しだけ、そう思った。
けど、すぐにその思いを振りきるように頬を叩いて、私はリングへと歩み寄った。
強くて優しい、憧れの彼と、同じ土俵に立てたことになんとも言えない感動を覚えた。
私が目の前の爆豪君に、よろしくね、と言おうと口をひらきかけたその時、
「ーお前、降参しろ」
「…え？」
彼がそう、言った。
会場がしん、と静まりかえる。
降参しろ？なんで？勝ち抜いてやっとここまできたのに？なんで？なんで？
驚きと悲しみで、ぱくぱくと何も言えないまま口を動かす。
私がやっとのことで絞りだした、なんで、という声。
爆豪くんが、口を開いた。
「…俺は、多分お前を壊しちまうだろ。そしたらお前は、砕け散るかもしれない。
でも俺は手加減はしたくねえ。だから、…降参しろ。」
「…な、…」
信じられない、私を心配して、君は降参しろだなんて言うの？
彼の言い分を聞いて、何だか無性に怒りが沸いてきた。
「……と…、………てた」
「…あ？」
「ー…ッ、君ならそんなこと言わないと思ってたのにッ！！」
大声で怒鳴ると、彼は目を見開いて驚いた表情をしていた。
そして、すっ、といつもの不機嫌そうな顔に戻り、
「手加減は、しねぇからな」
と、言い終わると同時に、試合開始のゴングが鳴った。
一瞬で目の前に彼の手のひらが現れ、私は、やばい、と思い咄嗟に両手で防御の体制をとる。
その瞬間、大きな爆発音と共に熱風が私を撫でていった。
手加減してない。
攻撃の威力からそう感じとると、私は嬉しくて口角をあげた。
「…！お前、欠けて、ねぇ」
「うん、何一つね」
私を脆いものだと思い込んでいた単純な君は、驚いた様子で私を見つめてくる。
「固さが変わるんだ、私。決意が固いほど、精神が安定してるほど、より固い。…今は、一番固いよ」
ーだって、私勝つもん。
そう言ってにこりと笑うと、彼は小さく舌打ちをした。
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なむ@国民同盟(プロフ) - 莢さん» ありがとうございます〜！！そういってもらえると書いて良かったなぁと思えます(´▽`) 受験生のため更新は遅くなりますが気長にお待ちください← (2019年11月17日 0時) (
レス) id: c664a17e86 (このIDを非表示/違反報告)
莢 - すっごく面白いし、素敵です！続き楽しみに待ってます！ (2019年11月7日 22時) (レス) id: c891151d5d (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - アアアリガトウゴザイマス…！学校の行事が続いていて更新が疎かになってました…また更新しますのでもうしばらくお待ち下さい！ (2018年11月8日 18時) (レス) id: f206e47b69 (このIDを非表示/違反報告)
ほの氏(プロフ) - つ、続きが気になって朝も起きれません← (2018年11月7日 23時) (レス) id: f9d42d0b16 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ?(プロフ) - 爆豪はまだ仮免持ってないただの高校生なのに敵殴ったから逃げないと、ってつもりだったんですが… すみません、漫画持ってなくてよく知らないんです…！(><;) 私の文章ぐちゃぐちゃなので、納得いかない所があればまたコメントお願いします…！ (2018年10月8日 18時) (レス) id: c664a17e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くらげ | 作成日時：2018年8月31日 13時
