No.19 ページ19
今の状況を担任に伝えたあと
私はその足を保健室の方へと向けていた。
いたい
痛いなぁ
(手と、心臓のあたりが とても)
バチン！と大きな音を立てながら 私の右手で火花を散らす電気系の個性。
慣れないソレに 私の手のひらは少し焼けただれていた。
「…リカバリーガール、いないし」
たどり着いた保健室のドアには
“ただいま不在” という文字と可愛らしいウサギの絵が描かれたプレートが引っ提げられていた。
それでも鍵はかかっていないようで
私は失礼ながらも部屋に入らせてもらい、ベッドを1つ拝借した。
「っ、いたいなぁ…」
小さく笑って呟く。
静かな部屋には やたらと響く言葉だった。
“人の個性を奪う個性” なんて
個性持ちが世界人口の8割を越すこの世の中で、恐れられる他ないに決まっている。
そんなこと昔から分かっていたから
なるべくその能力を使わないでいたのだ。
無個性で通れば良い、と
雄英の普通科に在籍している臆病なヒーロー志望が私。
助けるべき人に怖がられるのはもうたくさんなのだ
(…声が、聞きたい)
唯一私の個性に理解を持つその人に 今は会いたくて仕方ない
声が聞きたい
名前を呼んでくれるだけでいいから。
「…いたいよ、先生…」
もう電気をまとうことの無くなった右手。
それは行くあてもなくパタリとベッドの上に落ち
私は静かに目を閉じた。
最近 良いことばかり続いてたから
それに甘えて逃げてたから
バチが当たったのかな、なんて夢の中で確かにそう思ったのだ。
.
「…なんで、俺じゃないんだろうな」
少女の眠るその部屋の向こう側。
扉にかけようとしていた手は行き場なくおろされた。
体操着のままソコで立ち尽くす少年は、頬に流れる汗をぐいっと左手で拭う。
小さく乱れた呼吸から
急いで追いかけて来たことがうかがえた。
それでも自分の居場所のない事を理解したのか、少年はくるりと踵を返してグラウンドへと歩を進めた。
続く (更新停止中)
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TSUBAKI(プロフ) - なに、最高か (2019年10月9日 10時) (
レス) id: 693e23af59 (このIDを非表示/違反報告)
自分の目の前に天使が舞い降りてほしい 切実に - 人使の切ない心とかがすごく伝わってきてこっちまで悲しくなりました…人使と相澤先生と夢主ちゃんがこれからどうなるのか続きが気になります！更新楽しみに待たせてもらいます！！ (2019年8月14日 2時) (レス) id: da546de98e (このIDを非表示/違反報告)
クマグマ - このお話、すごく好きなので更新楽しみに待たせていただきます！ (2018年3月31日 17時) (レス) id: c478c89726 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 相澤先生が大好きなので是非とも続きが見たいです！頑張ってください！ (2017年3月14日 23時) (レス) id: bf6acc7bbc (このIDを非表示/違反報告)
ちゃとー - 相澤先生大好きです。一人ニヤニヤしながら読んでます！更新頑張ってください！ (2017年1月12日 15時) (レス) id: 9ee542576d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紙芝居 | 作成日時：2016年7月5日 1時
