No.18 ページ18
「Aッ、！」
俺が名前を呼び、止めに入るよりも早く
「あ、っぶなかった〜…
怪我させられて怒ってるなら、同じことしちゃダメだよー」
あっけらかんと笑いながらそう言って
電気をまとっていたはずの女の手を、Aは余裕で掴んでいたのだ。
「あ…、ごめん 咄嗟に奪っちゃった」
そして そのセリフ通り
女の手を離したAの右手には、バチバチっと音を立てて電気がまとわれていた。
それを見ていたクラスメイト達は
静かに、けれど確実にざわざわと騒ぎ始めた。
「朝比奈って無個性じゃなかったのか！？」
「初めて個性使ってるとこ見た…」
「奪ったって言ったよね、今」
.
.
「なんか…怖いね、朝比奈さん」
誰が言ったのかは 分からなかった
(…誰だよ、クソ)
俺は内心 舌打ちを残して幼なじみの元に向かう。
アイツは自分の個性を嫌っているのだ。
俺と同じで 昔から敵に向いてると言われていたから。
そんな幼なじみが個性を使ってしまった今、どうしても隣にいてやらないと駄目だと思った。
「A、お前気に」
「うん大丈夫 気にしてない！」
振り返ってへらりと笑った幼なじみは 相変わらず嘘が下手だった。
「ごめん心操、先生呼んでくるね」
結んでいた髪のゴムを解いてそう言う幼なじみの表情は、もう見えなかった。
ただ先生を呼んでくる と言って
駆け出したアイツを周りの奴が避けるのを見て ひどく心臓が軋んだ気がした。
「何が、怖いんだよ」
俺は堪えれずに小さな声を落とす。
「無個性の奴からしたら、“個性”をもつ俺らなんて全員怖いだろうが。それをアイツだけ特別みたいな言い方しやがって…馬鹿じゃねえの？」
誰に言っている訳でもない俺の言葉を全員が聞いていた。
「…お前の個性、5分もすれば使えるようになるから保健室にでも行ってれば」
怪我をした 名前すら知らないその女に目を向けると
びくりと肩を揺らした。
俺は見向きもせずにAの後を追おうと踵を返す。
そこで
視線を感じてふと顔を上げた。
(……相澤先生、ね)
そのA組の教室からは すこし焦った様子のソイツがいた。
こちらにやる視線は
まるでAを探しているかのように見えて
「アンタなら どうするよ」
俺は自嘲するように笑って呟いた。
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TSUBAKI(プロフ) - なに、最高か (2019年10月9日 10時) (
レス) id: 693e23af59 (このIDを非表示/違反報告)
自分の目の前に天使が舞い降りてほしい 切実に - 人使の切ない心とかがすごく伝わってきてこっちまで悲しくなりました…人使と相澤先生と夢主ちゃんがこれからどうなるのか続きが気になります！更新楽しみに待たせてもらいます！！ (2019年8月14日 2時) (レス) id: da546de98e (このIDを非表示/違反報告)
クマグマ - このお話、すごく好きなので更新楽しみに待たせていただきます！ (2018年3月31日 17時) (レス) id: c478c89726 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 相澤先生が大好きなので是非とも続きが見たいです！頑張ってください！ (2017年3月14日 23時) (レス) id: bf6acc7bbc (このIDを非表示/違反報告)
ちゃとー - 相澤先生大好きです。一人ニヤニヤしながら読んでます！更新頑張ってください！ (2017年1月12日 15時) (レス) id: 9ee542576d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紙芝居 | 作成日時：2016年7月5日 1時
