No.14 ページ14
………… 沈黙 。
隣の先生と逆の方へ視線を落とし、小さく呟く。
休憩時間ということもあり
昨日の放課後より騒がしい廊下を、私は先生と並んで歩いていた。
持たされているのはたった10枚ほどのプリント。
こんなもの先生1人でも持てるだろうに
なぜ私がご指名を受けたのか、未だに分からずにいる。
「朝比奈」
「ハイッ、！？」
急に名前を呼ばれて声が裏返った。
この人の行動はいつも唐突なのだ。
見上げたソコにある切れ長の瞳が、私を捕まえていた。
「前の、話だが」
ドクン
心臓が嫌に音を立てる。
彼と私の間にある話など一つしか無いからだ。
「…俺は」
「あーっ！相澤先生こんな所にいたんスか！？」
「って、うわ なんか可愛い女子連れてる！」
それはナイスなのかバッドなのか分からないタイミングで、大きな声がそれを遮った。
遠くから手を振りながら走ってくる声の主たち。
赤毛のツンツン頭が特徴的な少年と
金髪のチャラそうな見た目の少年2人だった。
多分、先生のクラスの子
「爆豪が教室で緑谷にガチギレしてんスけど…」
「いつもの事だろ、ほっとけ」
「いつも以上に荒れてるから先生呼びに来たんだって なぁ上鳴！」
「ん？ あぁ、今日の爆豪機嫌わるすぎな！」
バクゴウ？
ミドリヤ？
何それ誰それ、な状況の私を放ったらかしに3人の会話は進む。
…なんだか先生を取られた気分だ。
「なぁ、名前なんつーの？」
恵まれヒーロー科のばかやろう。
なんて、心の中でぶつくさ言いながら俯いている私の顔を 1人の少年が覗き込みながらそう言った。
「…あー、わ 私？」
恐る恐る自らに指をさして尋ねると
金色の髪を揺らして、彼は大いに笑い転げた。
「ぶっ、はは！名前聞きてえの他にいねえだろ！」
「…そんなに笑わなくとも良かろう」
「ごめんごめん！！で、ナニちゃん？」
「普通科の朝比奈A…です」
人見知りを発動しながら控えめな声で応えると
彼は「俺は上鳴電気な！！」と無邪気に笑いながら、私の手を握った。
わお、大胆。
「今度良かったら飯でも行かね？
Aちゃん何好き？」
すぐに仲良くできそうなその雰囲気に溶け込んだ私は
「アップルパイ！」
と容易く答えそうになる。
…の、だが。
「…おい上鳴。
お前 俺の前で他クラスの奴口説いてんなよ」
私の大好きなその声が ソレを遮った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 521人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
TSUBAKI(プロフ) - なに、最高か (2019年10月9日 10時) (
レス) id: 693e23af59 (このIDを非表示/違反報告)
自分の目の前に天使が舞い降りてほしい 切実に - 人使の切ない心とかがすごく伝わってきてこっちまで悲しくなりました…人使と相澤先生と夢主ちゃんがこれからどうなるのか続きが気になります！更新楽しみに待たせてもらいます！！ (2019年8月14日 2時) (レス) id: da546de98e (このIDを非表示/違反報告)
クマグマ - このお話、すごく好きなので更新楽しみに待たせていただきます！ (2018年3月31日 17時) (レス) id: c478c89726 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 相澤先生が大好きなので是非とも続きが見たいです！頑張ってください！ (2017年3月14日 23時) (レス) id: bf6acc7bbc (このIDを非表示/違反報告)
ちゃとー - 相澤先生大好きです。一人ニヤニヤしながら読んでます！更新頑張ってください！ (2017年1月12日 15時) (レス) id: 9ee542576d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紙芝居 | 作成日時：2016年7月5日 1時
