▽ ページ7
「轟君、私だけに何だか冷たいからさ、何となくだけど嫌ってるのかなって」
こんな事言いたくないけど、と付け加えると悲しそうな顔をしたままくるりと半回転してドアへ歩いて行く。
いや、違う。
俺はお前がただ、羨ましくて。
裏も表もない、ただ純粋なお前が眩しくて。
近づきたくて、でも遠過ぎる存在で。
俺はきっと、お前と肩も並べられない。
その事実に目を背けてただけだ。
本当の気持ちに蓋をして、嫉妬する事で昇華してた。
じゃあ俺の本当の気持ちは？
「…待ってくれ」
スッと、息を吐く様に言葉が出た。
＊
「違うんだ、嫌ってたわけじゃない」
振り向いた、泣きそうな顔。
「だって、」
「羨ましかったんだ
「何にも縛られない、自由奔放で、みんなから好かれる奴で。
「俺は個性と家庭のせいで友達なんてできたことなかった。
「自由さえも与えられず、決められた進路があるだけだ
「だから、」
「もういい」
喋ることに夢中になっていた俺は目の前で神田が泣いているのに気づかなかった。
「神田、」
神田は俺の手を取るとぎゅっと握った。
あったかい手だ。
優しくて、小さい時に母と繋いだ手の感覚とよく似ている。
「轟君にだって自由はあるよ。
「だってあなたの人生は誰のものでもない、轟君のもの。
もしも、あなたの人生が決められてると言うのならば、時には寄り道でもしたらいいんじゃないかな。
だって、寄り道には寄り道にしかないものだって、発見だって、幸せだってあるはずだから」
その言葉は自分の中にストンと落ちて身に染みた。
「寄り道…か…」
「轟君が良かったら友達になろう」
「え、」
「寄り道、してみよ」
「…おう」
神田は俺の顔を見て少し驚いた顔をすると笑った。
「轟君、笑った顔もできるんだね」
くすりと笑った神田に俺は熱が顔に集中するのを感じながら、日誌に目を向けた。
すでに書かなければならないことは書き終わった。
これを提出して帰ろう。
「…友達として、一緒に帰りませんか」
「帰ります」
俺は小さく笑って荷物をまとめた鞄を背負い、神田と2人で教室を後にした。
＊
俺は寄り道で小さいけれど懸命に咲く、綺麗な花を見つけた。
＊
言い忘れてたが、これは後に俺の最愛の人物となる人との出会いの話だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 407人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様お願いします (2018年8月25日 19時) (
レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
齋藤。(プロフ) - 初コメ失礼します！リクエストで尾白君とお家デートでお願いします！ (2018年3月30日 5時) (レス) id: da15a7215d (このIDを非表示/違反報告)
月 - はい！良かったです！ (2018年3月20日 9時) (レス) id: ba08fd21e9 (このIDを非表示/違反報告)
るれろ(プロフ) - 月さん» ご指摘ありがとうございましたm(_ _)m不快にはなっていません、ご指摘頂いて有難かったです。 (2018年3月19日 9時) (レス) id: b0e3947409 (このIDを非表示/違反報告)
月 - 不快にさせたら申し訳ありません！！ 死柄木弔の一人称は『俺』です。 (2018年3月19日 9時) (レス) id: ba08fd21e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るれろ | 作成日時：2017年2月25日 14時
