165.最悪の結果 ページ34
麗日｢デクくん、せめてこれを…！｣
お茶子ちゃんが自分の服を破って、デクくんの腕を応急処置する。
焦凍｢A、お前は…｣
A｢私も行く！｣
私がそう言うと、焦凍は首を振った。
焦凍｢ダメだ、お前はここに残れ｣
A｢え、なんで…？｣
焦凍｢もしかしたら、まだこの辺にヴィラン達がいるかもしれねぇ。そんな時、麗日や蛙吹が襲われたら大変だ。Aはここに残って、ここにいる麗日達を守ってほしい｣
A｢でも…！｣
焦凍｢爆豪と常闇なら必ず取り返す。だから…｣
A｢…分かった｣
焦凍の真っ直ぐな顔に、私は俯き頷いた。
麗日｢いいよ、梅雨ちゃん｣
蛙吹｢必ず2人を救けてね｣
梅雨ちゃんはそう言って、焦凍達を投げ飛ばした。
A｢…｣
私は、飛んでいく焦凍達を見つめた。
麗日｢解除！｣
お茶子ちゃんが“個性”を解除させた直後、焦凍達が向かった方に青い炎が上がった。
私達は顔を見合わせて、焦凍達の所に向かった。
緑谷｢あああああああああ！！！｣
A｢そ、んな…｣
焦凍達の所に着くと、目の前では青い炎が燃え盛っていて、そこに勝己くんの姿はなかった。
デクくんの叫び声と、焦凍達の青ざめた顔に、私は膝から崩れ落ちた。
A｢…っ、いやあああああああああ！！！｣
焦凍side
ブラドキング先生が通報したみたいで、ヴィラン達が去った15分後、救急や消防が到着した。
生徒41名の内、ヴィランのガスによって意識不明の重体15名、重軽傷者11名。
無傷で済んだのは14名だった。
そして…行方不明1名。
プロヒーローは、6名の内1名が頭を強く打たれ重体。1名が、大量の血痕を残し行方不明になっていた。
一方ヴィラン側は、3名の現行犯逮捕…彼らを残し、他のヴィラン達は跡形もなく姿を消した。
A｢…｣
Aは顔を伏せたまま、何も言わない。
施設に戻って来てから、ずっとこの調子だ。
轟｢…｣
俺らの楽しみにしていた林間合宿は、最悪の結果で幕を閉じた。
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作者名：高槻凪月 | 作成日時：2020年2月19日 0時
