163.最悪の事態 ページ32
焦凍｢A！｣
焦凍の声が聞こえると、女の子は私から離れていった。
？｢人が増えたので殺されるのは嫌だから、バイバイ｣
A｢まっ…！｣
蛙吹｢危ないわ！どんな“個性”を持っているかも分からないわ｣
森の中に走って行く女の子を見ていると、焦凍達が駆け寄って来た。
焦凍｢何だ？今の女…｣
蛙吹｢ヴィランよ。クレイジーよ｣
緑谷｢麗日さん、怪我を！｣
麗日｢大丈夫、全然歩けるし。っていうか、デクくんの方が…｣
お茶子ちゃんの言う通り、デクくんは酷い怪我をしていた。
酷い怪我で歩けないのか、障子くんにおぶられている。
障子｢立ち止まってる場合か。早く行こう｣
緑谷｢とりあえず無事でよかった。そうだ！一緒に来て！僕ら今、かっちゃんの護衛をしつつ施設に向かってるんだ｣
A｢え？｣
デクくんのその言葉に、私達は顔を見合わせた。
蛙吹｢爆豪ちゃんを護衛？その爆豪ちゃんはどこにいるの？｣
緑谷｢え？何言ってるんだ？かっちゃんなら後ろに…｣
そう言って振り返ると、デクくんの顔が急に青ざめた。
その瞬間、私は最悪の事態を予想してしまい、その予想は見事に的中した。
？｢彼なら、俺のマジックでもらっちゃったよ｣
その声に上を見上げると、仮面で顔を隠したヴィラン連合の一員であろう男が、木の枝に立っていた。
？｢こいつはヒーロー側にいるべき人材じゃあねぇ。もっと輝ける舞台へ、俺達が連れてくよ｣
そう言いながら、仮面の男は青いビー玉を私達に見せた。
A｢(まさか…！)｣
緑谷｢返せ！！｣
？｢返せ？妙な話だぜ。爆豪くんは誰のものでもねぇ。彼は彼自身のものだぞ、エゴイストめ｣
緑谷｢返せよ！！｣
焦凍｢退け！｣
ﾊﾟｷﾊﾟｷ!
焦凍が仮面の男のいる木を凍らせる。
仮面の男はそれを難なく躱して、何事もなかったかのように別の木に移った。
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作者名：高槻凪月 | 作成日時：2020年2月19日 0時
