149.薬 ページ18
顔を上げると、勝己くんが立っていた。
A｢勝…｣
爆豪｢半分野郎、こいつと席変われ｣
焦凍｢え？｣
爆豪｢いいから早よしろ。移動する時、ついでに窓も開けろ｣
焦凍は少し戸惑いつつも、勝己くんの言う通りにする。
爆豪｢てめぇはこれ飲んで、半分野郎の肩でも借りとけ｣
勝己くんは、私に酔い止めの薬と水を投げて、自分の席に戻っていた。
焦凍｢A、飲めるか？｣
A｢ん…ごめんね、焦凍…｣
私は勝己くんにもらった薬を飲んで、焦凍の肩に頭を置いた。
焦凍｢気にするな｣
焦凍は微笑んで、私の頭を優しく撫でてくれた。
焦凍side
少しすると、Aが寝息を立て始めた。
爆豪からもらった薬が効いたのか、顔色も少し良くなっている気がする。
緑谷｢Aちゃん、寝たの？｣
轟｢ああ。多分、薬が効いたんだと思う｣
飯田｢酔い止めの薬を持っていた爆豪くんに感謝だな｣
轟｢ああ。爆豪、サンキューな｣
俺は後ろにいる爆豪にお礼を言った。
爆豪｢チッ…てめぇは黙って、そいつの枕になっとけや！｣
爆豪はそう怒鳴って、俺から顔を逸らした。
切島｢爆豪、そんな大声出すなって！Aが起きんだろ！｣
瀬呂｢そういうお前もうるさいけどな｣
それから、皆はAのことを気遣って、話す時も小声で話してくれた。
焦凍side終了
焦凍｢──、A｣
A｢ん…｣
目を開けると、焦凍が心配そうな顔をしていた。
焦凍｢大丈夫か？パーキングエリアに着いたけど、降りられるか？｣
A｢大丈夫！寝たらだいぶスッキリした！｣
私は焦凍に笑いかけた。
焦凍｢そうか｣
焦凍は私を見て、安心したように微笑んだ。
A｢あ、勝己くん！｣
私は、バスから降りようとしている勝己くんに声をかけた。
A｢さっきは薬ありがとう！勝己くんのおかげで、めっちゃスッキリしたよ！｣
爆豪｢そうかよ｣
勝己くんはそう言って、バスを降りていった。
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作者名：高槻凪月 | 作成日時：2020年2月19日 0時
