90.お母さんの温もり ページ48
私達の声に、お母さんはゆっくり振り返り、私達を見た。
冷｢焦凍…A…｣
お母さんは、私達の名前を呟いた。
昔と変わらない、私が大好きな優しいお母さんの声。
A｢…｣
向き合うって決めたはずなのに、自然と体が震える。
ｷﾞｭｯ…
A｢！｣
繋いでいた手の力が強まり、私は焦凍を見上げた。
焦凍は｢大丈夫だ｣と言うように、微かに微笑んでいた。
A｢…突然ごめんなさい｣
私は意を決して、口を開いた。
焦凍｢俺達、お母さんに会いに来たんだ｣
冷｢！｣
焦凍がそう言うと、お母さんは泣いていた。
A｢えっ？お、お母さん！？｣
焦凍｢どうしたんだ！？｣
ｷﾞｭｯ…
焦・A｢！｣
私達がお母さんに駆け寄ると、お母さんは私達を優しく抱きしめた。
冷｢ごめんね…焦凍…A…私、2人に酷い事を…2人にずっと会いたい…会って謝りたいって思っていたの…でも、あんな酷い事をした私は2人に会う資格なんかないって…｣
お母さんは泣いて、私達に謝ってきた。
焦凍｢お母さん…｣
A｢…お母さん、あのね！｣
私はお母さんから離れて、花屋で買った花をお母さんに渡した。
冷｢これって…｣
A｢お母さん、この花好きだったでしょ？｣
私は、お母さんに笑いかけた。
冷｢…っ、ありがとう、A…焦凍も…酷い事をした私なんかに会いに来てくれてありがとう…｣
お母さんは涙を拭きながら、私達に微笑んだ。
A｢…っ、お母さん…！！｣
久しぶりのお母さんの温もりに、我慢していた涙が溢れてきて、私はお母さんに抱きついた。
お母さんは大泣きする私を、優しく抱きしめてくれた。
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作者名：苺の花 | 作成日時：2020年1月15日 19時
