【ヒロアカ】焦凍の双子の妹 2nd (ページ19)

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61.あまりに違う世界の話ページ19

緑谷side

轟｢親父は極めて上昇志向の強い奴だ。ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せたが、それだけに生ける伝説オールマイトが目障りで仕方なかったらしい。自分ではオールマイトを超えられねぇ親父は、次の策に出た｣

緑谷｢何の話だよ？轟くん…僕に何を言いたいんだ？｣

轟｢“個性婚”、知ってるよな？超常が起きてから、第二～第三世代間で問題になったやつ。自身の“個性”をより強化して、子供に継がせる為だけに配偶者を選び、結婚を強いる。倫理観の欠落した前時代的発想。
実績と金だけはある男だ。親父は母の親族を丸め込み、母の“個性”を手に入れた。
俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げる事で、自身の欲求を満たそうってこった｣

緑谷｢！｣

僕は轟くんの話に、耳を疑った。

轟｢鬱陶しい…そんな屑の道具にはならねぇ。
記憶の中の母は、いつも泣いてる。｢お前の左側とAが醜い｣と母は俺とAに煮え湯を浴びせた｣

轟くんは、顔の火傷に触れる。

緑谷｢…｣

この時、僕の心は色んな思いでいっぱいだった。

A『緑谷くん！』

じゃあ、轟さんは？

いつも明るくて優しい轟さんも、轟くんのようにエンデヴァーを？

緑谷｢と、轟さんは…？｣

気が付くと僕は、轟さんの名前を口にしていた。

轟｢…Aは奴に“失敗作”と言われていた｣

緑谷｢“失敗作”？｣

轟｢ああ。あとはよく知らねぇ。俺があの日、あいつを拒絶しちまったから｣

轟くんは悲しそうに顔を伏せた。

轟｢とにかく、ざっと話したが、俺がお前に突っかかんのは見返す為だ。クソ親父の“個性”なんざなくたって…いや…使わず一番になる事で、奴を完全否定する｣

緑谷｢…｣

あまりに違う世界の話で、正直ビビった。

目指す場所は同じでも、こうも違うのかって。

轟｢オールマイトとの繋がり、言えねぇなら別にいい。お前がオールマイトの何であろうと、俺は右だけでお前の上を行く。時間とらせたな｣

轟くんは、そう言って歩いていく。