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爆豪side
Aをベッドに押し込めてから、随分と時間が経った。腕の中にある柔らかな熱が、お互いの肌を通して体に行き渡っていくのを感じる。
本当はもう少しコイツを虐めていたかったのだが、触れる度に伝わる温もり、感触がどうしようもなく心地よくて、敢え無く俺の瞼は閉じてしまった。
ならせめてAをここに閉じ込めて離れられないようにしながら寝てやろう、と自分本位な考えを思いついた。
結果今こうして、Aを抱き寄せたまま、無防備な姿を晒し続けている。
つくづく、嫌気が差した。
あれだけ今までできる限りの濃ゆい接触を避けてきたというのに、何故今更自分がこんな挙動をとったのか。
あんなまとまりのない下手くそな誘いに乗るなんて普段の俺の性じゃ考えられないし、適当にあしらってやり過ごすことだってできたはずなのに。
ーーきっと、相当参ってるのだろう。
彼女を傷つけまいと、向けられた純粋な慕情を拒絶し続けることに。
胸の内で深くため息をついて、そんなメランコリックな感情を忘れようと思考を放棄した、その時だった。
「爆豪くん」
小さく名前を呼ぶ声と共に、赤子をあやす様にゆったりと頭を撫でられる感覚。状況からして、きっとAの行動だろう。
「ガキ扱いすんな」と文句を言おうとしたが、できなかった。頭部を慈しむように撫でる柔らかな感触から、何故か意識が離れなかった。
そして、無力になった俺に追い討ちをかけるように、
「……私の前でくらい、素直になっていいんですよ」
切なそうに囁いて、俺の胸元に頭を押し付けた。
たったそれだけで、心にずっと沈み込ませていた激情が吹き出した。封じ込めたはずの、葬り去ったはずの、みっともない執着心が冷静さを失わせていく。
感情のままに襲いそうになって、すんでのところで生き残っていた一抹の理性が行動を押し留めた。
疼きを耐え忍いでいると、だんだんとAの声に眠気が揺蕩いはじめた。そこから大した時間もなく、最後に「だいすき」と消えるように呟いて、もう何も言わなくなった。
少し目を開けると、Aは間抜けた顔をして眠りについていて。
ーーどこまでも、可愛いヤツ。
穢れきった欲望を純一無雑な愛おしさが上書きして、甘やかな感情が胸を満たす。
普段は絶対に口に出さない言葉も、今なら言えそうで。
「俺のが好きだわ、バーカ」
聞こえなかったであろう甘ったるい本心を呟いて、もう一度目を閉じた。
(終わり)
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如月 - ありがとうございます！(*｀･ω･)ゞ (2019年8月13日 11時) (
レス) id: 26dff16a4d (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 甘党さん» こちらこそ、リクエストありがとうございました！妄想が捗って、書くのがとっても楽しかったです(笑)宜しければ続編も、どうぞご贔屓にしてください。 (2019年8月12日 21時) (レス) id: 3c371268a1 (このIDを非表示/違反報告)
甘党(プロフ) - 『彼氏を甘えさせよう！』読みました！リクエストに答えていただきありがとうございました！すごくキュンキュンして浄化しそうでした…これからも頑張ってください！！ (2019年8月12日 2時) (レス) id: 672f68fdf6 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 如月さん» リクありがとうございます！ 勝己くん呼びしたいですねえ……！合点承知之助です！ (2019年8月12日 2時) (レス) id: 3c371268a1 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - いつも楽しく見させてもらっています！リクエストで下の名前で呼んでみたをお願いします(*｀･ω･)ゞ (2019年8月11日 9時) (レス) id: 26dff16a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真実 | 作成日時：2019年5月8日 0時
