どうも、学生の敵です。【僕のヒーローアカデミア】 (ページ8)

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記憶が6つページ8

「あっ！そうだA！

お酢の分は、来週のお小遣いから引いといたから！」

『ねえ母さん。さっきの話聞いてた？

　私命の危険に晒されてたんだよ？お酢のお金ぐらい見逃してくれたっていいじゃん。』

「それとこれとは話が別だよ！」

そんな会話をしながら、自分で作った味噌汁を口に運ぶ。

突然だが、我が家には家庭の味なるものは存在しない。

理由は簡単。母さんの料理の才能が破滅的だからである。

そのためご飯は父さんと私で交代で作っているのだが、父さんは今日の敵(ヴィラン)騒動の後始末をしに行って居ないため、今日は私が作ったのだ。

. . . 昨日は色々あって、母さんの料理を食べることになってしまったが。

ともかく、話を戻そう。

今日はいつも通りに作り、まあまあ美味しく出来たはずなのだが

. . . . . 美味しく、感じないな。

今日の敵(ヴィラン)騒動で一気に現実をつきつけられ、絶望と悔しさとが心の中を渦回っていて、平常を保つのに精一杯だった。

「. . . 突然だけど、Aってもう進路とか決まったの？」

『本当に突然だね。

　えっと、進路ね. . .

. . . . . いや、まだかな。』

「. . . . . そっか！いやぁ意外だな！

　Aなら、“ヒーローになりたい”って言うと思ったよ！

. . . だって小さい頃毎日のように言ってたもんね。“将来はヒーローになって皆を救うんだ”って。」

そんな時期もあったっけ。

. . . でも。

『私には無理だよ。ヒーローになるなんて。

. . . 母さんも言ってたじゃない、ヒーローは力無しじゃ成り立たないって。』

「. . . 力なら、持ってるじゃない。」

『. . . . . へ？』

いつも飄々としている母さんは、見たことがないくらい真剣な顔になって、私を見つめてくる。

「A、よく聞いて。

　Aは、人を助けようとした。結果がどうであれ、それはとっても大事なことで

　ヒーローにとって最も大切な“力”なんだよ。Aはそれを持っていた。

　Aは充分ヒーローになれる。母さんが保証する。」

心がじわじわとあたたまり、涙が目からこぼれ落ちてくる。

「後はAしだいだよ。

. . . A は、どうしたいの？」

涙でぐちゃぐちゃになった顔を思いきり擦り、真っ直ぐに母さんの目を見る。

私は. . .

『なるよ、最っ高のヒーローに！！』